「なぁ、なんで来なかったん?誘われたやろ?」


「……眠かったんで。オサムちゃんのアダルティなビデオのおかげで目が覚めましたけど」



部屋は結構広くて豪華だった。…荷物がきちっと並べられていたかと思えば明らかに放り投げた鞄があった。右からエクスタシーで一番左が遠山君か…。性格出るなぁ……。

備え付けの椅子に座らせた謙也先輩の目の前にしゃがんだ。



「え゛っ!?」


「えっ…な、なんですか」


「な、な、ななななにしとん…?」


「え?いやテーピング…突っ立ったままやるのはキツイんで……」


「あ、あぁ…そやな…」



おどおどしまくりの彼は一体何があったんだ。
…あ、そういや電話した時にヘタレヘタレってみんなからいじめられてたな。だからこんな風になってしまったのか…可哀想に。テーピングしながらそんなこと考えてたらすっげー視線を感じて見上げたら顔を赤くさせている謙也先輩と目が合った。思いっきりそらされた。…ええぇ……



「謙也先輩何でこっち向いてくんないんですか」


「あかん!」


「何がですか」


「こーいうのはスピード勝負とか言うたらあかんのやろ!?こう…早よそうなったら信頼なくすんやろ!?大事にされてへんとか…思ったり…」


「え?いや…確かにスピードよりはちゃんと丁寧にした方がいいんじゃないですか、(テーピングは)大事ですし」


「せ、せやな…急がば回れっちゅー話や!」



そっぽ向いて笑い始めた謙也先輩。この人とはなんだか会話が噛み合ってない気がするが幸せそうなのでまぁいいや。
その後テーピングをして変にギクシャクした謙也先輩におやすみなさいといって風呂へいった。

………謙也先輩ってあんなギクシャクしてたっけ?もっと素で無神経なこと言ってきてたよな…別に言われたくないからいいけど。