「せっ千石先輩っ!亜久津先輩がまたいないですっ!」



千石先輩と女子の理想について語ってたら背が低い少年が走ってきた。千石先輩と私がいるところを見たらダダダーンッて言ってお邪魔しましたってまた走り出した。誤解はされたくないので引き止めて逆ナンしただけだと説明した。もっとショックを受けていた。
彼は山吹の一年らしい。壇君と言うらしい。なんだこの可愛さ。



「あっくんまたいないの?」


「……すみませんさっきっから言ってる亜久津さんって超目付き鋭くてタバコふかしてる人ですか」


「知ってるですか!?」


「あ、居場所は知らないんだけども……よし、手分けして探そうじゃないか」



元気よく返事をした彼は小走りで亜久津先輩をさがしにいった。……まぁむやみに動き回ったら迷うだろうね!それでも亜久津先輩を見付けて付きまとおう。千石先輩は女子を見付けたのか消えた。というか彼はテニス部なのか。意外すぎてツッコミが難しい。




「あっくーん!」


「あっくぅううんー!」


「あっくぅうううう、うぼばっ!」
走りながら叫んでたら曲がり角から亜久津先輩が出てきてアイアンクローかまされた。痛い。


「てめえ…何でこんな所にいやがる」


「さては開会式みたいなのフケたんですね亜久津先輩!」


「関係ねぇだろ」


「ちなみに今日上下白なんです、言っちゃった」


「聞きたくねぇこと聞かせるんじゃねぇ」


「きっ……、聞くより見せろなんて…ヤダ、あっくん大胆…っ」


「消えろ」


「ぶべばっ」



頭を掴まれて壁にぐりっと押し付けられた。
おい鼻がこれ以上低くなったらどうするんだ。

その後私が付きまとって騒いだおかげで外に出たとこで壇君に発見された亜久津先輩。
壇君への態度が明らかに私と違って優しかった。明らかに優しかった。いや理由はわかるけども。



「んもうっ、亜久津先輩のツンデレさんっ!キャワイイんだからっ!」


「おい、人間的当てを教えてやる」



本気で石を打ち込まれたので室内に逃げてきた。
亜久津先輩を愛でるのは限度を越えてはいけない。確実に怪我する。