『そんな酷い子には酷い男がお似合いやろ』



忍足様のあのセリフがどうしても頭から離れなかった。
私酷い子なのか。……確かに酷い、かもしれない。いや忍足様よりはマシだけども。

そんなこと考えてたら野菜炒めを作ってたから若干焦げた。くそ……。着信音に気付いて携帯を見たらユウジ先輩だったので野菜炒め冷めるの承知で出た。



「ユウジ先輩いかがなさいましたか!」


『お前これからどーすんねん』


「え、野菜炒め食べます。ちなみに今日の献立は肉なし野菜炒めと白米です」


『ちゃうわボケ。ちゅーか肉ないんか!』


「………実業高校にでも行って、バイトしながら頑張って、就職して親父に金返します。我ながらなんて堅実な人生設計」


『…こっちには、戻らんのやろ』


「……ごめんなさい」


『そんなんわかっとる。』


「ユウジ先輩、」


『……何や』


「私、酷い子なのかな」


『は?なんやそれ』


「酷いって、言われちゃいました。」


『……』



酷い、だけで伝わるわけないけど、つい口が勝手に動いた。
ユウジ先輩はちょっと無言で盛大にため息ついた。あ、呆れられた。



『お前は酷い子ちゃう』


「…でも、」


『勝手に好かれたんに何でいちいちご丁寧に答えなアカンねん、ほっとけ』


「………ユウジ先輩どっかで聞いてたでしょ」


『お前のことくらいわかるわ。財前への態度やら何やら…気付かん方がおかしいんや』


「…じゃあ、やっぱ、私酷いのかな」


『誰に吹き込まれたんか知らんがホンマにアホやわお前』


「え、な、なんでですか」


『お前の態度でわかるわ、恋愛対象外にしかなっとらんのは。それでも引っ付いてくんのは勝手やんけ。お前のせいとちゃうわ』


「……そんなに、態度に出てますか?」


『おう。お前のはわかりやすいねん。財前にイケメン言うくせにかわしとるやろ』


「…私、恋愛とか無理です。もし、恋なんて関係になるなら絶交する方がマシ。……ズルい、のかもしれません」


『……俺でも、か』


「…………怖いんです。愛なんて朽ちるものなんですよユウジ先輩。」
 

『…価値観の違いやろ。お前の好きにやれや。』


「ごめんなさい…、ありがとうございます」


『…、これだけは覚えとけよ。俺はお前捨てへんし嫌ったりもせぇへんわ。調子こいたら絞めたるけどな』


「…ユウジ先輩のいけず」




やっぱり、私に恋愛なんか無理らしい。