東京まで来て街ぶらついて、適当な店入ってコーヒー飲んで。
うわぁ、デートみたい。



「そういえば」


「ん?」


「私のどこが残酷なんですか、全く」


「え、今更かい」


「時間差ツッコミです」


「……ほら、名前ちゃんって酷い子やん」


「ですよね私って酷……、なんなんですか」


「んー…」



言葉を濁す彼を軽く睨んだ。なにこれデートとかいってただイビりたいだけじゃんか。それに酷いってなんだこら。



「名前ちゃん四天宝寺の子らと仲ええやんか」


「それが何か」


「特別好きな二人にも、あの天才君にも本音言わんとそのままオトモダチやるんや、酷い子やで」


「………私が本音言ってないなんてどうわかるんです、いい加減だなー」


「わかるんや。こう…雰囲気?名前ちゃんって男を恋愛対象として見てへんやろ」


「私がレズみたいな言い方しないで下さい誤解うける」


「堪忍な。大好き言うてもオトモダチやもん、好意向けられたら受け取るくせに恋愛方面にはもってかんで気付かんフリやろ?残酷やん」


「忍足様も大概性格悪いですね。」


「名前ちゃんよりマシやで」


「恋愛にぎらんぎらんな女の子嫌いな癖に、私みたいな逆のタイプは残酷とか言いやがる。私のは残酷じゃなく、………」


「なに?」



あーやっぱコイツ苦手だわ。
笑顔でそれ以外ないだろって顔されるとムカつく。
言葉が出てこなくて目をそらした。



「気付いてんのやったらちゃんと振るとかせな、可哀想やで。」


「じゃあ私忍足様は無理です」


「ざっくり振るなぁ」


「忍足様が言ったんでしょ。あと好きでもない女に笑顔で接するのやめてください、人のこと言えませんよ」


「あぁ俺は大丈夫、勘違いされたらきっぱり言うたるから。名前ちゃんのは質悪いねんホンマに」


「質悪いとか何事ですか」


「恋愛対象でもないくせに、むっちゃ優しくすんのやから質悪いねん」


「…私別に優しくない」


「じゃあ俺とか相手にせなええだけやのになんで付き合ってくれとるん?」


「………単なる気まぐれ、ですけど」


「嘘つくんはあかんやろ」


「私忍足様苦手です、なんでそんなに突っ込んでくるんですか。関係ないじゃないですか」


「あるで。俺言わんかったっけ?名前ちゃん好きやわー」


「ははっ、笑えるー」


「名前ちゃんみたいな残酷な子は押して押して押し倒せば案外落ちるん早いんやで」


「落ちるっつーか諦めるのが、でしょう」


「せやな、諦めた後は怖いくらい一途になるんを振るのがおもろいねん」


「最低すぎますよ忍足様」


「同じことしとるだけやで、今の名前ちゃんと」


「極論すぎです」


「どうせ名前ちゃんマトモな恋愛出来へんやん」


「財前君には別の意味で言われました」


「そうなんや。なら自覚あるんやろ?」


「そうですね、マトモな恋愛なんて私には出来ません。」


「だったら俺でええやん」


「……考えときまーす」


「望み薄そうやんなぁ」


「そうですねー」


「名前ちゃん、」


「まだ精神的に追い込む気ですか」


「いや、ちょお足近距離で眺めてええ?」


「蹴り飛ばしていいんなら」


「アカンて、その足でそんなんされたら俺Mに目覚めてまうやん」


「性的には虐めませんが精神的には虐めてあげますよ」


「なんやその究極の焦らしプレイ」


「あー忍足様のせいでなんか落ち込んだ」


「責任とるで」


「ならひもなしバンジーしてきて下さい」


「死ぬやん」


「二階からなんで骨折くらいですみますよ」


「名前ちゃん俺スポーツ選手なんやけど」


「がっつり忘れてた」


「忘れんといて」



あー、デートとかするんじゃなかった。