「お、名前ちゃん早いやん」


「十分前行動を心掛けてるので」


「そこはデートやから楽しみで早く来ちゃったーとかでええんやで」



女子に遠巻きに見られているダテ男、もとい忍足様はすぐ見付かった。はー…やっぱ中学生じゃないわー。



「そういや、デートってなにするんですか」


「へ…なにって、」


「可哀想なことにデートなんざしたことないんで」


「………」


「…な、なんですか」


「や、意外やなぁって」


「え、そんな遊んでるイメージあります?」


「名前ちゃんってえらいスタイルええからいっぱい言い寄られてそうやん」


「薄着にならないとわかりませんし大して巨乳でもないからそんなに言い寄られてはいないです」


「そういうのってめっちゃエロいと思うんやけど」


「いちエロゲットだぜ」


「え、欲しいん?」


「いりません」



くだらない会話をしながら前を歩く忍足様についてった。
電車乗るらしく人混みの中を歩いてたら自然な流れで手を引かれた。……この男、なれてやがる。



「どこ行くんですか?」


「街でもぶらつこーや」


「忍足様って謙也先輩と似てないですよね」


「名前ちゃんもあのダブルスのやつとは似てへんな」


「心は繋がってるんで」


「俺は繋がってへんわー」


「忍足様って本気で笑いませんよね」


「…………そない言うたら名前ちゃんも本音言われへんやん」



本気で笑わない、と言ったら意味深な笑顔でそう言われた。
あぁこれ笑ってるけど機嫌悪くなったな。ただの変態じゃなかったんですね。



「俺、名前ちゃん程残酷な女初めてやわ」




どういう意味だ