「…………桑原先輩…」


「いや…いいんだ……何も言わないでくれ…」


「…手伝いますよ」



昼休みに所用で職員室まで行くと桑原先輩が書類をホチキスで止めていた。
その姿があまりにあれだったので手伝うことにした。



「…悪ぃな。マネージャー達のことでも世話になっちまったし…」


「あぁ…まぁもう手伝いませんから大丈夫です」


「れ、練習試合には来てくれるんだよな?」


「あー…行きますよ。」


「そうか…、いやあいつらだけだとよ…な?」


「いやもうさすがに大丈夫じゃないんですか」


「ま、まぁ松苗はな…。…………愛美が、…」


「…………それは知りません私関わってないし」


「スコアとったりすんの、前よりはマシになったんだけどよ…」


「良かったですね」


「やっぱ松苗とぶつかんだよ……」



盛大なため息をついてホチキスをガチャン、と止めた彼には同情する。まぁ…うん、ストレス、たまってんだろうなぁ…。



「それに、俺は愛美は美人だと思ってはいたけどよ…皆みたいに恋愛対象には見れなかったんだ」


「あー…らしいですね」


「しかも合宿の最後に愛美の皆が好きっていう…なんつーかよ…」


「………ははは」


「…合宿終わった辺りから、あいつらもなんかおかしいって思い始めたみたいでよ。」


「へー…」


「名字のおかげだと思うぜ」


「……………………………それは絶対違うと思いますよ…、終わったんで行きますね。」


「おぉ、悪ぃな」



止めた分を重ねて職員室を出た。なんて恐ろしいことを言うんだ彼は。私財前君眺めてただけだぞ。

……忍足様も、確か血迷ってた。なんだっけ、私と面識がある人だけ木原先輩に惚れてない…だっけ…。そんなの、部長が言う惚れ薬の方がまだありそうだろうに。いいやどうせデートするはめになったんだしそんとき話そう。