「名前たこ焼き屋やれよ、なにこれ超美味い」


「まぁたこ焼き焼くのは慣れですからね。ありがとうございます」


「俺毎週通っていい?」


「どこの彼氏ww嫌ですよ、付き合ってもいないのに」


「付き合うか」


「たこ焼き目当ての彼氏とか絶対嫌ですよww」



そんな下らない話をしてたら携帯から流行りのアイドルの曲が流れた。
部長が笑ってむせた。



「名前の着うた似合わねーんだけど」


「小春ちゃんがこれにしてっていうから…」


「なるほどww」



納得するとまたたこ焼き食べ始めたので携帯の通話ボタンを押した。小春ちゃんが出てお疲れさまーみたいな会話をしてると早々にエクスタシーさんに代わった。なにそれ酷い



『名前ちゃん聞いてやー、俺が名前ちゃんのアドレス聞いたらユウジのやつ警察署のアドレス教えてきたんやけど』


「良かったですね」


『皆は知っとるやん、俺にも教えてくれへん?』


「私と皆の連絡手段テレパシーなんです」


『今まさに電話しとるやん小春の携帯で』


「これ小春ちゃんじゃなく小春ちゃんを名乗った誰かですよ」


『なんでそんな拒絶されんのかわからんのやけど』


「白石先輩、私のアドレスじゃなくて木原先輩の住所調べて夜這いでも何でもしたらいいじゃないですか」


『なんで名前ちゃんユウジと全く同じこと言うん!?打ち合わせしたやろ!?』


「してません。個人情報を聞き出そうとするのはやめて下さいね、じゃあ」


『ちょ、待ちや。なんか謙也がおかしいねん。ちょお代わるからきっぱり言うたって』


「、は?」



小春ちゃんの携帯だろうが、と突っ込む前になんかギャーギャー騒いでる声がして息を切らした謙也先輩が電話に出た。なにしてんだ



『あ、あんな…!』


「どうしたんですか」


『お、俺らってあれやんな?その、…』


「……以心伝心?」


『せやねん!以心伝心やんなっ』


「まぁ…そうなんじゃないですか?」




曖昧に肯定したら電話の向こうからお前アホちゃうんか!以心伝心ちゃうやろアホ!勘違いも程々にしときや!どんだけアホやねんチキンが!ええ加減にしろやヘタレが!等々、結構可哀想な罵声が聞こえてきた。

え、なに本当にどうした



『み、皆がな……嘘や言うねん…』


「ちょ…え?ちょ、な、泣かないで下さい。何が嘘なんですか」


『…、名字さんが俺のこと好きや言うてくれたん嘘や言うねん…っ』


「………」



なんだこいつ。
泣いてしまっているのか、鼻声で不安そうに聞いてきた。

なんだこいつ。

犬か。



「……嘘じゃないですよ。」


『…ホ、ホンマに?』


「私が嘘つく理由がないでしょ?それとも謙也先輩は私を信じられませんか」


『……!っい、いや信じてる!信じてます!』


「じゃあ誰に嘘だって言われても泣かないで下さい」


『なっなな泣いてへん!』


「ならいいですけど…じゃあ小春ちゃんに代わって下さい」



謙也先輩から小春ちゃんに代わってもらったけどもまだギャーギャー騒いでてすぐ切れた。最後に聞こえた声は小春ちゃんが「寄るなや一氏ィ!!」って叫んでた。…聞かなかったことにした。



「はっ…部長全部食べたんですか」


「うん、ほらもっかい焼こうぜ」



ちょっと散々である。