「名字さん、今日はありがとう。あの二人の言い争いに時間を裂かずに部活を出来たよ」


「はは……光栄です…」



間接的にテメェのせいだ今までの時間どうしてくれるんだと言われたようだ。
幸村先輩の圧力に押し潰されそうになっていたら部室から着替え終わった丸井先輩が出てきた。……ん?



「さっき木原先輩入ってきましたよね?」


「…愛美はフツーに入ってくるし松苗は気にすんなとかいって中にいるんだよぃ」


「…………お、…男兄弟いるからなれてるんですかね…」



私には絶対無理だ。
でもカバン部室に置かしてもらってんだよなぁ…。
あ、ちょうどいい所に切原君ゲット。



「切原君部室ん中にある私のカバンとって」


「はぁ?自分でとれよカバンくらい!」


「私顔面に切原君の唾飛んだんだけど」


「んなの名字が笑わせるからだろ!」


「切原君のケチ!」


「んだよ名字のバーカ!」


「鞄、こちらでよろしいですか?」


「あ、それですありがとうございます。」



私と切原君が言い争いをしてたら部室から顔を出した柳生先輩が私の鞄をとってくれた。受け取ってお礼を言って中身を確認する。
…よし、何もされてないな。



「ジャッカル、どっか寄ってこうぜー」


「いっとくがもう奢れねぇからな」


「俺も行きたいッス!」



三人がぞろぞろ校門へ向かって歩いてった。
早く松苗先輩出てこねーかな…。



「…お前さんまだ居ったんか。誰待ちじゃ?」


「松苗先輩です」


「……あー…先に帰った方がいいぜよ」


「…なんでですか?」


「……見たらわかる。もう皆着替え終わっとるから入りんしゃい。」


「あ、どうも…すみません失礼しました」


「逃げるんじゃなか」



部室に片足突っ込んで中を見たら衝撃的な光景を目の当たりにしたのですぐに身体を引っ込めて逃げようとしたら頭をつかまれた。即座に弾き落とした。

見たくない光景、……松苗先輩がなんかよくわかんねー資料とよくわかんねーノートにテニス部レギュラーの人のデータ(これからのトレーニング方法等々)を書きこんでいる光景だ。


悲惨である。



「名前ちゃん手怪我したナリ」


「か弱いんですね」


「弾き落とすんは酷いのぉ」


「そんなあなたに真田先輩」


「意味わからん」


「私もわかりません、じゃあお疲れさまです」


「だから待ちんしゃい」


「何ですか」


「おくっちゃる」


「現金を?」


「そろそろ俺でも怒るぜよ」


「私平気なんで真田先輩を……間違えた、そっちの二人をお願いします」


「木原は柳で松苗は誰が声かけてもいつも自分が一番遅く帰っちょる」


「松苗先輩でしょう、そこは。何女子一番遅く残してんですか」


「独自のわけわからんメチャクチャな練習メニュー考えとるらしい。何度言ってもダメなんじゃ」


「……それはすみませんでした。」


「だから俺は真田でもあの二人でもなく名前ちゃん担当」


「いらねーなぁ、いらねーよ」

「…………似とらん」
「………」


 

いらっときたのでスピードスターの如く走り去った。