「向こう側にいるママが迎えにきたよ…」


「だから言っただろ」


「そうだね…これは由々しき問題だ…。」



後でやんわり言って蜂蜜はやめさせよう…。
あと問題は木原先輩か…。
目を向けると丸井先輩と仁王先輩の打ち合いをベンチで応援してる。やるなら今だな。
部室のカバンからファイル引っ張りだして木原先輩に声かけた。睨まれた。



「…なに?」


「木原先輩って正マネージャーじゃないですか。スコアとかとること多くなると思うんで、このファイル見てスコアの取り方復習して欲しいらしいです」


「はぁ?なにそれ、私ちゃんとやってんだけど!」



ファイルを差し出した手を弾かれた。ファイル落ちたわ。仁王先輩と丸井先輩がうわぁ…って顔でこっち見てきた。



「えー、これ柳先輩が木原先輩の為にって準備したファイルなんですけど…。それに出来てないからじゃなくて単なる復習、ですよ。なんか柳先輩手助けしたかったらしくて。いらないなら柳先輩に返してきますね」



そういいながらファイル拾って去ろうとしたらファイル寄越せって言われた。
あー松苗先輩より木原先輩のが扱いやすいわ。





「……名字」


「文句言わないで下さいね。受け付けませんよ」


「いや、すまなかったな。愛美へは何度か教えていたが話を理解している、と…本人も言うんだが……」


「会話の内容を理解していない確率」


「89%だ」


「さすがに図解してあるもんが手元にあればわかりますよ。これで木原先輩は解決です」


「それなら助かるが…」


「あと何すればいいですか、ないなら帰りますけど」


「じゃあ向こうのコートのボール拾い、お願い出来るかな?」


「…わかりました。」



柳先輩に文句言われるのかと思ったらそうじゃなかった。とりあえずもう帰っていいかな、と思って言ったら横から幸村先輩に指示された。
ボール拾いか…まぁ、そりゃそうか…。



「仁王先輩、ラケット貸して下さい」


「おもちゃにするんじゃなか」


「じゃあいいや切原くーん」


「やっぱ貸しちゃる」


一番近くにラケット置いてた仁王先輩にラケット借りた。幸村先輩は手で拾えとは言っていない。ボールを拾いあげてサーブみたいにカゴにボールを入れた。この方が楽だ。

地味にこの作業を続けててつまんなくなってきたので「一…球…入…魂!」とか合宿中に見た技を見よう見まねで真似しながらボール拾いしてた。やっぱり跡部先輩が一番しっくりくる。