「この後は吹奏楽に行くんで」


「吹奏楽?その写真はいつまでに撮ればいい?」


「え?えっと……部長ー!部長!」


「吹奏楽は明後日から一週間やるって。」


「この合宿は一週間だ。存分に撮りな」


「跡部先輩はもう撮りたくないんですけど」


「なんだと?」


「あ、かっこよくて惚れそうなんで撮りたくないんです」


「ふっ、それもそうだな。」



跡部先輩ってアホだよなぁ…と思いながらどうにか帰るために頑張ってみることにする。今午後の練習が終わり、皆がコートから出るとこだ。そこで話をしていたので四天宝寺のエクスタシーの人が話しかけてきた



「なんや写真部の子倒れたって聞いたけど元気そうやな」


「あ、はい。この通り元気です。」


「そうだ白石。お前も撮らせろ。」


「撮りたくない!です!」

「なんやそんな拒絶されると燃えるなぁ」


「いや、あの、じゃあ、ぶ、部長が撮りますから…」


「任せろ」



私がもしエクスタシーさんを撮るってなったらまた呼吸困難に陥るだろう。それは勘弁願いたい。部長に押し付けてまだマシな氷帝にいることにした。そんな話をしているとエクスタシーさんの腰辺りに木原先輩が抱きついてきた。わぉ積極的ぃ。


「なんの話してるの?」


「あぁ、写真部に俺らも撮ってもらおーって話やねん」


「そうなんだ!いいじゃん、撮ってもらいなよ!」


「待って名前見捨てないで」


「部長が撮るんだから平部員は帰ります、帰って吹奏楽を撮りますww」



エクスタシーさんといちゃいちゃしだしたので笑いながら帰ろうとしたら部長に泣きつかれた。ぶっちゃけまだカメラ使いこなせないと。ならなんでどや顔で任せろなんて言ったよww



「なんやお前まだおったんか」


「ユウジ先輩相変わらず失礼ですね。私だって一刻も早く帰りたいですよ。」


「ちゅーかお前の標準語キモいわ」


「いやいや、戻すと今度は標準語に戻らなくなりそうなんですよ」


そんな会話を通りすがったユウジ先輩としていたらコートから出てきた財前君と目が合った。彼は目をそらしてからぼそり、と言葉を落とした。



「…俺は名前の関西弁、好きやけど」



 





 
「白石ー!財前が頭打って重症やーっ!」



彼の台詞が木原先輩に聞こえてなくて良かったと思った。