放課後案の定機嫌が最悪な切原君が下駄箱のとこにいて見付かった。


「おいなんだよあれ!俺らはお前に…っ」


「いやだから私写真部だし。それに松苗先輩自分でマネジメントに関しては自信があるわ、っていってたから私より役に立つよ。その方がテニス部にとっても有益だよ。」


「……名字のバーカ!」


「この野郎いい加減にしろよ人が優しくてやってりゃいい気になりやがって」


「な、…なっなんだよ!」



私が少々言葉遣いを崩して睨むと怯んだ切原君。関西人にバカバカ言いやがって。
……怯んでしまった切原君に少し冷静になれた。まぁ中ニだしね…、こんなもんだよね。大人になろう。



「切原君が私にって言ってくれたのは光栄だけど、出来ないから。私もちょっと一方的だったね、ごめん」


「………」


「じゃあね」



黙りこくってしまった切原君の横を通り過ぎようとしたら腕を掴まれた。しつけーな、さすがの私も怒るぞ。
文句を言おうと振り向いた、んだが。




「俺は…、あのわけわかんねー先輩じゃなくて名字がいいのに…っ、んで避けんだよ…!?」



 

俯いて泣きそうな顔で言われた。不覚にも、息子にならしたいと思った。なんだよ避けられて拗ねてたのか可愛いやつめ、なんだか急に切原君が可愛く見えてきた。



「ぐ、愚痴なら聞くよ」


「……なら手伝えよ」


「色々あるからテニス部は手伝えないけど、個人的に切原君を応援するくらいなら出来るよ。…ってそれ意味ないか…」


「あ、ある!」


「……じゃあそれでいい?」



顔を上げて必死に首を縦に振る彼を可愛いと思ってしまう。なんだこれ別に私切原君とか可愛いとか思ってなかったのに…。あれだよ財前君と同じ学年だからフィルターかかって可愛く見えてんだよ絶対。



「じゃ、頑張れ。」



ポケットに入ってたチョコレートを押し付けて帰った。








 

次の日から切原君いちいち私のクラスにやってくる様になった。