「おっそいわ!俺が待ち時間嫌いなん知っとるやろ白石!わざとか!」


「ははは、ほら早よせな間に合わへんでーわざとやけど」


「白石のアホォオ!」


「あ、あの白石先輩」


「名字さん飛ばすで!」


「ぶお!」



流石浪速のスピードスター。
白石先輩から謙也先輩に代わる時に話しかける間もなく凄いスピードで自転車が走り出した。この野郎舌噛んだぞ。
制服にシワ作ってやろうと背中をぎゅう、と握り締めてやった。



「あ、あのな、名字さん」


「なんでしょう」


「俺、名字さんをスピーディーみたいや言うたやろ」


「まだ言いますか」


「お、俺にとってはスピーディーは居って当たり前やねんっ!居らなアカン存在やねん!」


「は、…」



いきなり何言ってんだこの人。
スピーディーについて語り出したぞ



「なんだかんだ優しいとことか、最終的には助けてくれるとことか、なんちゅーかっ、」


「(スピーディー愛されてんな…)」


「スピーディーは名字さんみたいやねん!」


「(ついに逆転した!)」


「つ、つまりや!」


「(まだ終わってないのか)」


「俺名字さん好きやねん!」







 


 


「謙也先輩私とスピーディー間違えてる?」


「えっなんでそうなるん」


「だって好きって」


「そ、そうやけど…間違ってへんわ」


「…なんか、ありがとうございます」


 
なんで忍足様と謙也先輩が従兄弟なのかわけがわからないよ…。
少し忍足の血について考えていたら謙也先輩がまたなんか喋りだした。



「名字さんは、あれやんな。なんだかんだ皆に優しいんや」


「いえ嫌いな人にはキツイですよ」


「愛美庇っとったやん」


「…あれは、あの空気ではああするしかないっていうか」


「結局のトコ助けるっちゅー話や、優しいやん」


「……優しい、なら謙也先輩の方が当てはまりますけど。あと素で無神経」「あれ、褒めてへんよそれ」


「超褒めてます」


「やっぱな」


「はい」


「名字さんスピーディーやねん!」


「私イグアナになってますよ謙也先輩」