財前君の後ろに乗ってなんか凄いスピードで走ってます状況が掴めません。落ちないように背中に軽く手を触れさせてもらってますが速くて落ちそうです。



「短距離の記録と人間性でこのバイクを操縦する奴選抜して、そいつらが名前駅まで送るんや。んで、トップバッター俺。」


「な、にそれ…今、学校じゃ…」


「昼休みの有効活用。」


「……お昼、食べてないの?」


「教師笑かしたら遅弁ありやし。」



なにそれどんな学校だよ。
というより何でそんなこと、してくれるの?
まずその前に普通の自転車バイクって呼び出したの誰?


頭がまだ混乱していると財前君がスピードを保ったまま話しかけてきた。



「名前のこと笑かしたる言うたけど」


「うん、いってくれた」


「俺は名前が居れば笑えるんや。」



知らんかったやろ、っていう彼の声が弾んでいて、本当なんだなって感じた。嬉しさで鼻の奥がまたおかしくなった。目頭が熱い。

約束、期限ないんだね。




「…ありがとう」


「……どういたしまして」



背中に触れていた手を腰に回してこぐのが邪魔になるくらい抱きついた。うん邪魔だよね、わかってる、すぐ離れようと思ってるんだけど、離したくないんだ。