「エクスタシーさん」


「お、おぉ…どないしたん名前ちゃん」


「殴ってトドメ刺していいですか」


「ホンマにどないしたん」


「だから殴ってトドメ刺していいですか」


「なんでトドメ刺そうとか思うん。流石に傷付くわ」



ベンチに座って力なく笑う彼に蹴りでトドメ刺していいかと聞いたらまた苦笑いされた。
そういや間違えた、謝りにきたんだった



「すみませんでした」


「トドメ刺すんやめてくれたんならええよ」


「そっちじゃないです」


「他に何かあるん?」


「ユウジ先輩が私の親父とエクスタシーさんが似てるって言ったらしいですね。これはもう酷い侮辱ですから謝ります。ごめんなさい」


「……そか」


「あと、私がエクスタシーさんに失礼な態度とるのはエクスタシーさんがあいつに似てるからじゃありません。…そんな愚かじゃないです勘違いすんなちくしょう」


「やったら何でそんな攻撃的なん?」


「………ムカつくからです」



きっぱり、言ってしまった。
目を見開いて驚く彼はこんなこと言われたことないんだろうな。イケメンだし。



「全部完璧でイケメンで優しくて…笑いそうです」


「……僻みやんかそれ」


「僻みです。ぶっちゃけていいならぶっちゃけますけど」


「これ以上どうぶっちゃけるん?結構ダメージきとるんやけど」


「完璧にすんのによく独りで弱音もなんもなく頑張れますね。よくもそんなん苦じゃない、みたいな顔出来ますね。

仲間がいるくせに。贅沢なんですよ。

そんなピンと張り詰めすぎた余裕、保つのも大変なのに余裕ぶっこいてる顔がムカつくんです。

だからその余裕ぶっ壊してやろうと思って。」



「………名前ちゃんって、優しくないんやな。普通私が支えてあげるーとかないん?」


「ぶっ壊したら楽になりますよ。それにエクスタシーさんには木原先輩がいるじゃないですか。じゃあ、すみませんでした。」



頭を下げてとっとと逃げた。