「簡単に言うと、あれだよ財前君」


「…だからどれやって」


「母親死んでて、父親が再婚してんの」


「……そか」


「それで私が父親超大っ嫌いなのをユウジ先輩と小春ちゃんは知ってる、くらいかな」


「…なんで嫌いなん」


「……あいつ私の産みの母親とは結婚する気なんてなかったんだって。ガキ出来ちゃったから結婚したけど、みたいな」


「…遊びが酷いっちゅーことか」


「うん。母親もヒステリックなホクロブスでね、私がいるから父親に自分が愛されんのやーって。んで殴った後は名前が私とあの人を繋いでくれとんのやーって抱きつくんだ。
お前惨めすぎるだろっていうね。親父浮気しまくってる時点で気付けよっていう…

あ、やばい、愚痴になりそう。やっぱやめようか」



「、愚痴でええから」



話して。そう言われてどうしようもなく鼻の奥がツンとした。

あれか、君のことなら何でも知りたいの☆みたいな…いやそりゃないな財前君だし。ただ優しいだけだな、うん。



「結局親父の浮気耐えらんなくなって自分で死にやがったんだよね。

親父はすぐ再婚しやがるし。

別に、母親好きだったから父親が嫌いとかじゃなくて…

私のこと表面上可愛がってきやがって、腹ん中でバカにしてやがるんだよね。
あの女と同じや、とか、こう…なんていうか、
やっぱあの女のガキやなぁ、って言われて、プッツン来たみたいな、ぶふっ」




 

プッツン来た、のとこで財前君が振り返って抱きついてきた。何この子、素早すぎ。本棚に背中打って酷い声を出してしまった。



「……名前はそんなんちゃう」


「う、ん」


「…キツかったやろ」


「何度刺そうと思ったかわからないよ」


「……名前、…」


「え、な、なに」


「…ホンマに見た目よりあるんやな」


「胸見て言わないでもらえますか、何も聞こえないけど」



とりあえず財前君は天界と人間のハーフだと思いました。イケメンはイケメンでも人間でした。