、

イケメンって万能なのかな。
頬をそりゃもう容赦なくつねりあげてくれた財前君はキモいっていった。辛そうにキモいって。自覚はあるよ。

いつも通りにイケメンと一般人一緒にすんな的なノリでいこうとしたら、



　

言葉が出てこなかった。





「…無理して笑うんよせや」


「……笑ってないと、辛気臭くなるし…つまんないし、財前君笑ってくれないし」


「そんなんええ」


「よくないよ」


「俺は、…無理して笑う名前…見ててムカつく」


「…………ごめん」


「謝れ言うとんのやないわ!なんでわからんの、アホちゃうん!?」



謝ったのがだめだったのか、財前君に怒鳴られてしまった。彼が怒る理由?
私の顔ムカつくからでしょさっき言ってたじゃん顔どうにもできないよ。着ぐるみ被れってか。




「辛かったら泣けばええしキツかったら嫌や言えばええ…、約束追加や」


「注文多いよ財前君」


「俺に絶対、嘘吐くな」


「……私が笑たら笑う約束やから…私泣いたら財前君も泣くん?」


「泣かん。笑かしたる」


「、…」



　
大阪出ていく時に首絞められながら言われたセリフが頭の中に出てきた。
『お前みたいに胡散臭い笑顔はうざいねん!きしょいから俺がホンマに笑かしたる!』って、ユウジ先輩に言われたんだった。胡散臭いって。それは酷いわ。愛想笑いとか言ってくれてもいいのに。
財前君までユウジ先輩と同じこと言うし…もう意味がわからん。




「ざ、財前君…今私にそういうこと言うと引っ付いて大号泣し始めるから…お願いだからやめて…。」


「…………もっと頼ってくれてもええやろ」


「……い、今…引っ付いて大号泣して鼻水つけても嫌いにならん…?」


「ならん」



もはや半泣き状態で鼻水たらしながら言ったら苦しいくらい抱き締められて即答された。鼻水が肩についたので誤魔化そうと必死に腕で肩の鼻水をどうにかしようとしてたらこれがしがみついてると思われたのかさらに強く抱き締められて鼻水垂れっぱなしで大号泣してしまった。なんて惨めな。


　


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