名前ちゃんのクズ発言にはホンマにびっくりした。他の奴ら帰ってて良かったわ。特に謙也と金ちゃん。素で空気読まれへんもんな、あの二人。

……あの男の人、なんか話の内容からして名前ちゃんの父親かなんかか?父親にクズ言うて手弾き飛ばすような子には見えんけどな、あの子…。
それよりさらに驚いたんは小春やユウジにウザイ言うたこと。

ユウジに首絞められようがアッパーかまされようがキショイ言われようがニヤニヤしながら嬉しそうにしとったあの子が、や。



「あーぁ、逃げられてしもた。小春ちゃんまた名前と遊んでくれたん?愛想も可愛げもないけど仲良うしたってなー」



……は?普通やん。普通の父親やん。
思春期で父親うざがっとるだけ、とかそんなんとちゃう空気やった。なのにこの人なんか普通の父親やん。
わけわからん。



「反抗期も激しすぎると困りもんやなー」


「……………おじさん、名前ちゃんのは反抗期とちゃうで。」


「……あいつが何も言わんと黙っとるんはアンタに原因あるからやろ、何いきなり親父面しとんのや。まず謝るんが先やろが。何が大人っぽくなったなぁー、や。大概にせぇよ」
 

「ユウ君!」


「………さがしてくる」



え、何やこれ。
事情知らんからわけわからんけど。父親言うのはわかったけど。
なんなんこれ。


横を通りすぎたユウジがめっちゃ辛そうな顔しとった。


あんな顔初めて見た。ウザイやキモイなんて財前で言われ慣れとるやん。なんでそんな顔すんねん。
名前ちゃんの父親やいう人のことも気になっとるけど、足が勝手にユウジ追って一緒に名前ちゃんさがしとった。