「名前」


「……すみません、今ボケもツッコミも出来ません」



普通の民宿的な宿に泊まるらしい。部屋はふすまで仕切られている。部長がふすまを開けて顔を出してきた。風呂上がりか。




「母さん今風呂。大きい風呂だから一緒に入りたがってたけど」


「…………セクハラしない自信がないので遠慮します」


「明日のお笑いライヴ楽しみにしてた」


「…そう、ですか」


「名前ってさ…ユウジ君も小春ちゃんも大好きなんだな」


「…何を今更」


「なのになんで頼らねーの」


「めっちゃ頼りまくってますよ。」


「もっと根本的な、さ」


「部長にも頼ってるじゃないですか」


「……ま、いいや。俺寝るわ。おやすみ」



ふすまをしめてそう言った部長は髪乾かしてなかった。言おうと思ったけどなんとなく言わないままでいたら五分ほど後に部長のお母さんが部長を叩き起こして怒っているのが聞こえた。そりゃそうだ。