「……あれ…なんでだろ…小石川先輩、涙が出てきました…」


「せやな…一人やないで…!一人やないからな…!」



でっかいショッピングモールで謙也先輩と部長と部長のお母さんは普通にショッピングを楽しんでいる。ユウジ先輩と小春ちゃんは小道具見に行った。
私と小石川先輩はポツンとエレベーターの横に突っ立っている。




「私と小石川先輩は同じ部類なんですね…もう影薄いもん同士で楽しみましょう。あ、たこ焼き食べたい」


「そやな…。影薄いとか言ったら終わりや。出てすぐのとこにたこ焼きあったで。皆俺らがおらんくなっても気付かんやろ…。行こか」


「もうヤケ食いだ」



小石川先輩と一緒歩いてると生暖かい視線を感じた。…あ、兄妹に見えるんかな。同じく影薄いから。


「………お兄ちゃん」


「はっ!?ど、どないしたん名字さん…」


「いや、つい…すみません」


「そういえば名字さん、白石がアドレスも番号も教えてくれんって喚いてたで」


「白石……?」


「……エクスタシーや」


「あぁエクスタシーさん。教えましたよ兵庫県の端の方の郵便番号」


「正直いい気味や思うてん」


「正直なのは良いことです」


「……名字さんはホンマ変わっとるな」


「小石川先輩まで私を仲間外れにするんですか…!?」


「ちゃうねん!白石に番号聞かれてボケる女の子とか初めてやねん!」


「だって流石にフリーダイヤルはバレるかなって」


「そういう意味とちゃうかったんやけど」


「アダルト用品のポップにあるような言葉を連発する人に個人情報教える程危機感なくないですよ。」


「ま、まぁそうなんやけど…ほら、無駄に顔がええから。無駄に」


「私小石川先輩の方が好きです」


「たこ焼きおごったるわ」