「ま、撒いたか…」


「さ、っすが…スピー、ド、げぼっスター」


「うお!す、すまん!スピード出しすぎてもうた!」


「だいごほっじょっぶ、」


「アカンやん!」



謙也先輩がやっと止まってくれた。なんだこの人、なんで息切れてないの。
深呼吸や!といって一緒に深呼吸するがアンタ深呼吸すら早いんだよ!逆に息浅くなるんだよ!

盛大に咳き込んでから心配して顔を覗き込んでくる彼に今度はしっかりとお礼と謝罪をした。



「ちゅーか何で自分こんなとこに居るん?」


「えっと、観光です。部長と部長のお母さんを案内してて……。それで小春ちゃん達に案内してもらおうってなって、」


「……あああぁぁ!三人でコソコソしとったんそれか!ひ、酷いやんか!隠さなくてもええやろ!」


「えぇぇ隠した覚えないですよ!」


「なんで三人しか誘わんかったん!?」


「誘ったの部長ですよ!それに謙也先輩誘ったら余計タシーまでついてくるじゃないですか!」


「余計タシーってなんやねん!」


「木原先輩とラヴズッキュンな人です!」


「ラ…ラヴズッキュンとか大声で言いなや恥ずかしいやんか!ちゅーか古っ!」


「古っ!?ふ、古くないやん!先輩の頭の方がブーム過ぎ去っとるわ!90年代の香りしよるやんか!」


「何やと!?」


「何やねん!?」



大声で言い争ってしまったからか、周りのカップルとかにクスクス笑われた。は…恥ずかしい…!
顔に熱が集まっていって気まずくなって俯いたらさっき引っ張られた時の掴まれたままの手が見えた。あ。同じ行動をしていたらしい謙也先輩は慌てて手を離した。



「す、すすすまん…っ!」


「…、私もすみません。古いって言われて頭に血がのぼりました…」


「自分怒るポイントおかしない…?」


「自覚はあります…」


「……あ、待ち合わせしてたんとちゃうん?」


「………あ」


「………」