「ユウくんあ〜ん!」


「俺やっぱ戻って食べたかった」


「気にしないで下さい先輩。ユウジ先輩と小春ちゃんのことは気にしないで下さい先輩。」



先輩が二人のいちゃつきを見て箸を置いた。どうフォローしたらいいか迷ったが気にするなとしか言えなかった。



「ちゅーか、俺らは聞きたいことあんねん」


「聞きたいこと?」


「あの女、白石のヨガ趣味や家族にくーちゃん呼ばれてん知ってんねんで。」


「くーちゃんって面じゃないっすねww」


「変なとこ食いつくなやドアホ!」


「謙也さんのイグアナだかなんだかも知っとりましたわ。きしょい、ストーカーなんやろあれ」


「ユウジ先輩の悪影響受けたのかな、同級生が毒舌なんだけど」


「なんで俺の悪影響やねん!お前こそ小春を見習えっちゅーんや!」


「小春ちゃん先輩にあーんしてますよ」


「アタシの写真も撮ってええわよ〜」


「小春ーッ!浮気かゴラァア!」


 
付き合ってたら食べ損ねるのでスルーしてパスタをクルクルしながら食べる。
そういや木原先輩の普段の声を猫なで声と言うんだろうな。地声やばかったし。あれどーやって出してんだろ


 
「名前」


「、…と、びっくりした、なんで名前…」


「首から下げとるプレート。写真部、名字名前ってあるやろ。」


「それもそうか。えっと、私は名字名前です。君は何くんですか」


「…………財前光」


「じゃあ財前君。猫なで声ってどうやって出すの?」


「は?」


「いや木原先輩の話でなんとなくそっちに頭がいって」


「猫なで声…、それ、なんで猫なで声っていうか考えたんやけど」


「ほうほう」


「猫って顎の下とか胸とか撫でるとええ声出すやろ」


「うん」


「人も同じや。」


「え?」


「わからん?実践すればわかるで。猫なで声って喘…」


「こらそこの!うちの後輩に何いってんの!?」


「財前お前趣味悪いな」

「あら〜アタシも教えて欲しいわー」


「ごめんなさい、余裕で聞き取れた。確かによく考えたら喘ぎ声かも。そしたら木原先輩常に喘いでることになるよね、やばい超敏感ww」


「財前お前ホンマ趣味悪いな」


「白昼堂々喘ぐ女とか嫌っすわ」


「名前って木原嫌いだよな、別にとか言ったくせに」


「嫌いなんじゃなくて面白がってるだけですよ、人聞き悪いな」


「そろそろ出んと午後の練習遅れますわ。」



財前君の言葉でよっこいしょと立ち上がると先輩達は慣れているのでスルーしてたが彼はなぜか爆笑した。


「お約束すぎやろ…!」


「ご、ごめん…つい言っちゃうんだ、腰あげる時凄い億劫なんだ」



これも彼のツボだったのか手で顔を覆って笑われた。流石に恥ずかしいぞ、これは。



「…こない笑う財前初めて見た」



ユウジ先輩の言葉も聞かなかったことにする。