『ッアホ!ふざけんなやアホ!白石の電話来たやろ!何で出んのやアホ!』


「だっだって…ユウジ先輩からの着信やってんもん!う、嬉しかってん………そら出るやん!」


『……もうええわアホ!白石に余計なこと聞いとらんやろな…』


「エクスタシーやわかった瞬間電池パック抜いたりましたわ…なんや頭きたんで」


『……よし』


「ちゅーか何でエクスタシーが私に電話してくるんですか」


『……アレやろ、立海マネが恋しいんやろ。』


「あぁ…なんて迷惑なカップルや……」


『……今は、なんもないんやろうな』


「木原先輩テニス部の告白全部受けて複数股になっとりますよ。エクスタシー大ぴんち」


『きっしょ…、まぁええわ。切る。』


「えっやだユウジ先輩酷い名前ちゃん寂…」



機械音が返事をしてきた。涙が出た。
松苗先輩がびっくりしたように私を見ている。あ、喋り方に驚いたのかな。



「私関西出身なんですよ。」


「…そうなの。電話で言っててユウジ先輩って…四天宝寺の一氏君かしら」


「えっユウジ先輩知ってるんですか?」


「面識はないけれど、有名だからね。四天宝寺はテニス部が強いもの」


「はー……、あ、なら小春ちゃん知ってます?私小春ちゃんの従姉妹なんですよ」


「……これは驚いたわ。似ていないのね。」


「よく言われます」



あ、違和感。
違和感と矛盾。

有名だから、ね。便利な言葉だ。
金色小春じゃなく小春ちゃんで通じるんだ。詳しいな。
面識はなくても似てるか似てないかわかる、ね…。

私と小春ちゃんが従姉妹ってのを驚いてたけどすぐ納得したように嬉しがる。その笑顔に違和感。



「木原さん…彼女がテニス部に複数股って話、面白そうね。聞かせて?」



 
楽しそう。