「ユウジ先輩のメールから邪気が放たれてる」


「……」


「部長拗ねないで下さいよ…松苗先輩いい人じゃないですか」


「…名前は松苗に協力すんだ?」


「協力?なんすかそれw松苗先輩は面白いし好きですけど彼女が木原先輩とぶつかってんのは私には関係ないですよ。」


「俺名前のそういうとこ好きだわ」


「じゃあとっと職員室寄って帰りましょ」


「おう」



部長の機嫌もどうにか浮上してきたので頼まれていた写真を片手に職員室に向かう。
職員室に入るとなぜか切原君が座らされていた。何やってんだあの子




「ありがとう。君達は仕事早くて助かるよ」


「そりゃ早く帰りたいっすから」


「部長素直ww先生、何ですかあの光景」


「……ん?あぁ、切原ね…。あいつ英語の補習での小テストもダメでな。あーしてやってるんだよ」


「へー」



確か英語の教師って…私が部長といるときに中学生が不純な関係だなんて汚らわしい、って言ったアラサー独身だったな。あ、思い出したらアッタマきた。


「切原君それスペルミス」


「っ、…んだよ!馬鹿にしに来たのかよ!」


「うん。馬鹿なんだから頑張ろうよ。同士ですよ。あー私もそれ意味わかんなかった。それさぁ」


「お、お前に教わりたくねーし!」


「そう?わかった口出してごめんね」


「ま…待てよ!………ど、どこ、間違ってんだよ…」


「右から三番目。発音はaだけどスペルはこう。切原君は発音わかってんだからスペルミスなくせば大体合ってるよ」


「……あいつ、全部ダメだって…」


「スペルミスが大半だけど文法が間違ってるからでしょ。この小テストは全部スペルミスだからそれ直せばいんじゃない?」


「げっ…全部間違ってんのかよ!」


「これ読んでみて」


「だ、だーてぃ…?」


「合ってる。スペルが違う。発音と一緒にスペルも書けば覚えられるよ」


「ティーってこれじゃねーのかよ」


「この場合こう書くの。あと問い6、8、9、のティーの発音のとこのスペルもこっちね。」


「ふーん…」


「あ、アラサー独身帰ってきた。切原君、」



鞄の中の電子辞書と飴を出して机に置いた。この子電子辞書の使い方大丈夫だよな?


「バレんなよ」


「は…お、おお、おい!こ、これ……」


「必要なくなったらB組に置いといて。部長ー今すぐ甘いもの食べに行きませんか」


「切原に浮気したからイヤ」


「私は部長一筋やのに☆」


「お前小春ちゃんよりウインク上手くね?ww」


「ウインクすると殴られたみたいな顔になるって馬鹿にされてたんですけど…そんな風に言われると嬉しい」


「浮気許してやるからなんか食い行こうぜww」



どうせ切原君はスペルわかんないだろうから電子辞書を貸してやることにした。不味くてなめられない飴と一緒に。
さっさと辞書隠さなきゃ見付かるぞあの子…。まぁいいや。