「名字、悪いんだけどこの前撮った分フォルダに入ってるから使えそうなのお願いね」


「私が選んじゃっていんですか?」


「いいよ。あと学級新聞に使うからテニス部の合宿写真頼むよ。」


「了解です」



顧問から引きとめられる。よくあることだ。顧問の先生は部長が先生を適当に扱うのでよく私に話しかけてくる。
あ、早く部長に知らせないとあの人とっとと帰るからなぁ…。仕方ない、知らせに行くか。




「部長ー」


「助けて」


「ふっww」



三年の部長のクラスに顔を出して部長を呼ぶと両手で顔を覆った部長が助けを求めてきた。
ついつい笑ってしまった。



「どうどう。部長、今日写真部普通に活動しますよ」


「愚痴らして」


「部長w私お触りなしなんですけどww」


私の所へ小走りでやってきた部長は手をぎゅーっと握ってきた。一体何があったんだろうか。少し心配になったら教室の中から凛とした感じの声が響いた。


「そんなに睨まれたら穴があいてしまいそうなんだけど…やめてもらえないかしら」


そう言ったのは木原先輩とは対照的な美人さんで、黒髪ストレートでスレンダーな人だ。わぉ美人。


「あの黒髪美女、転入生。」


「美人っすね。」


「顔はな」


「木原先輩とぶつかってるんですっけ」


「ちょっと見てろって」



部長にそう言われて観察する。丸井先輩の横にいた木原先輩が彼女の目の前に行き机をぶっ叩いた。あれ本人が痛いだけでやられてるほうは特に痛くないし被害がない。木原先輩はMなんだろうか。


「そんな顔してちゃお化粧で塗り固めた可愛い顔が台無しよ?化けの皮が剥がれるって、こういうことなんでしょうね」


「いちいち私に突っかかるのやめてよ!私だって黙ってないから!」


「“お姫様”のあなたにはまだわからないでしょうね…もうすぐ夢が崩れるのだから今は浸ってるといいわ。私は“傍観”してるだけですもの」



私は部長の顔になめてた飴を吹き飛ばした。