「名字さんそんなに四天宝寺がいいの?」


「うわぁああごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!ごめんなさいごめんなさい!」


にっこりと笑った幸村先輩。私はユウジ先輩と千歳先輩に押さえ付けられて幸村先輩の前に突き出された。本気で泣きそうだ。


「幸村、名前がごめん。俺が言っとくから勘弁して」


「お前じゃきちっと注意しないだろ」


「贔屓しまくる幸村よりはするよ」


「え?俺がなんだって?」


「はっは、幸村もう難聴?」



真っ黒な空気が漂った。
あまりに冷たい空気だったのでユウジ先輩にしがみついたら振り払われたから仕方なく千歳先輩にしがみつこうとしたら持ち上げられた。だから重量あげかって。



「名前ちゃんも反省しとるばい」


「ごめんなさいまだ生きていたいです」


「……はぁ…何で俺が悪くなるんだろうね。もういいからバス戻るよ。」


「……………千歳先輩、おろしてください」



挨拶、と言われて持ち上げられたままぐるーと四天宝寺の方々の目の前に移動させられた。


「小石川副部長普通に好きです、お世話になりました」


「なんやこの子めっちゃええ子やんか」


「お坊さんって呼んでごめんなさい石田先輩」


「気にしはることはない」


「遠山君次会うときは私は人間だよ」


「はよぉ人間なってな!」


「エクスタシーさん…プラマイゼロかと思ったけど全体的にマイナスですね」


「ははは、名前ちゃんホンマええ度胸やわ」


「謙也先輩人間顔じゃありませんよ頑張って下さい」


「やからなんで哀れむん?」


「小春ちゃんにユウジ先輩…最後の最後で誘拐は勘弁して欲しかったです」


「ごめんなぁ〜」


「チッ…、お前が縮めばバレんかったんに」


「財前君……いでででで!引っ張らないで引っ張っらないで!私アメーバちゃうから分裂出来ひんよ!千歳先輩も離して!」


「ホンマや千歳先輩何で名前離さんのですかウザい」


「財前が無理に引っ張るから…俺はこのまま持ち帰るからよか」


「分裂してまうってば!私テイクアウトなしやし!アフターなしやし!」



財前君の前に移動したと思ったら二人で人間綱引き始めやがって本当に分裂するんじゃないかと思った。痛い。涙がでかかった時千歳先輩が「財前は強情ばい」と言って手を離した。反動で財前君にロケット頭突きをかましてしまった。私は何をしてるんだ。



「ほなさっさと帰りましょ」


「いやだから名前置いてけってww」



財前君は私がロケット頭突きをしたのにそのまま頭を引き寄せて私もろともバスに乗り込もうとした。あまりに自然すぎて流されそうだったが部長がツッコミを入れてくれたので助かった。侮れんな、財前君。