「終わったー!」


「なんや名前ちゃんちゃんと真面目にスコアとっといてくれたんやな」


「財前君の試合ですし。あー久々に働いたー…部長帰りましょー」


「おー。バス来るまで飯食ってあと自由だって。準備だけはしとけよ」



地味に頑張ってたから解放感が半端ない。
最後の試合が終わったあたりで皆がコートを片付け、合宿所へ戻っていった。それからお世話になりましたーって挨拶して外でバス待ってようとしたら首曲げられた。



「ユウジ先輩…今のは流石の私でも首が曲がりましたよ」


「何普通に帰ろうとしてんねんこのドアホ」


「せやで!名前ちゃんつれないわ〜!」


「だって…二人共帰ってこいって言うでしょ…」


「当たり前やろが」


「アタシも放っておけんもん、口出すわ」


「家庭内事情だし放っておいてもらった方が気が楽なんですけど…」


「それだけやない。あの女まだお前になんかしようとしとるやろ、性懲りもなく」


「それも心配やねんで。これはもう名前ちゃんが大阪帰ってくるしかないねんて!」


「木原先輩は大丈夫ですよ。私柔道ならイケます、もう不覚はとりません。…帰りはしませんけど、近々行く予定なんで。」



二人は本当に大好き過ぎる。だってもうなんていうか…もうマジで好きだ。
例えユウジ先輩の首絞めで死んでも幸せだと言える。…やっぱりそれは嫌だな。



「名前、」


「え、なんですか」


「お前ホンマきしょいねん」


「改めて言わないで下さいよ……」


「こんなきっしょい奴受け入れるん俺らだけやぞ。とっとと帰ってこい」


「小春ちゃんユウジ先輩がデレた!」



小春ちゃんと一緒に感動してたら首が締まった。ユウジ先輩の照れ隠しマジパネェ…。



「も、もう二度と言わんからな…!」


「………私首絞められる時ホンマいつも思うんですけど、このままぐりんって向き合って抱き付いたろかなって」


「もう触らん」


「なんで!?なんでなん!?一回くらい抱きつかせて下さいよ!変なことせぇへんから!」


「きしょいホンマきしょい、何で抱きつこうとすんのかがわからへん」


「小春ちゃんともハグしたし財前君の不意打ちハグももろたんやし後はユウジ先輩だけなんです!」


「…………は?財前の不意打ちハグってなんやねん聞いてへんぞオイコラ」


「痛、いひゃひゃへふ!」


「光ってば手ぇ早いんやからーッ!」



私は不味いことを口走ったようだ。ユウジ先輩に頬っぺたを捻りあげられた。小春ちゃんに至ってはなんか興奮してるらしく助けてくれない。



「うぅ…痛い…。わ、私の心配してくれた財前君にお礼言ったら不意打ちハグもろたんです…。力強くて痛かったけど…」


「……ありえへん、お前何うちの後輩たぶらかしてんねん、アホ」


「財前君たぶらかす程色気ないん知っとるやんユウジ先輩のアホ」


「ユウ君はええの〜?名前ちゃん光に取られてまうで!」


「…………こんなきっしょい女ありえへんのやぞ、ありえへん。………やけど小春の頼みやし財前以下ゆーのがムカつくねん」


「え、つまりどういうことですか」


「……抱き付いてこいや、ただし二秒」


「二秒って!なにも出来んやん!二秒って!」


「うっさい文句あんのか死なすど!」


「へうっ」



怒鳴られて頭を掴まれたと思ったら強制胸板ダイブさせられて身体が浮いた。
ユウジ先輩がいつもは首締めるから後ろだったけど今は目の前で、驚いた。ちょ、なにこのハグ成功率。



「……服伸びる、重いきしょい離れろ」


「堪能さして下さいよ」


「きっしょい」



私が服がっつり掴んで抱き付いてるからきしょいはいっぱい言われたけど無理に引き剥がすことはされなくてなんかもう抱き枕にしたくなった。調子こいてあと10分と呟いたら叩かれた。



「アタシも入れて〜☆」


「うゆっ!小春ちゃん私浮いてんやけど!三人で抱き付くの大歓迎やけど私の身長考慮してほしいわ!ちゅーか挟むんやめてww」


「ちょうどええわこれでバス乗り込んで帰ればばれへんで」


「せやね!そうしましょ〜!」


「誘拐ww誘拐やwwユウジ先輩誘拐する時くらいしか抱き締めてくれんのですね!」


「ジャージかぶしとけば大丈夫やろ」


「名前ちゃんちょっと我慢しとってな」


「あかん本気やこの人ら」