跡部先輩と手塚先輩の試合はまぁとんでもなかった。
まぁ全員とんでもないのだがオーラというかなんというか。それが凄かった。そんな凄い試合をすげぇ僅差で手塚先輩の勝利で終えた後。



「私財前君の文字しか見てなくて相手見てなかったけど…切原君、財前君と試合するんだね。なんて無謀な」


「どーいう意味だよ!」


「どんまい、人間顔じゃないよ。にしても無謀な」



財前君の試合だから指定のコートに行くと向かい側にいたのは切原君で驚いた。
まぁ財前君と比べたらなんか色々あれだから慰めたら怒られた。



「あれだよ、私が木原先輩に女として勝つくらい無謀」


「…………お前、何で愛美先輩のこと嫌わねぇんだよ」


「…え?」



あまりに予想外すぎる彼の質問につい聞き返してしまった。彼はハッとして首を振り何でもねぇ!とコートに入ってしまった。

………私がいつ木原先輩を嫌いじゃない、などと言ったのだろうか。大嫌いである。
ただそんなことどうでも良くないか?私がイジメでもしてるならわかるが私は木原先輩に特に何もしちゃいない。嫌味くらいは許せ。
彼はたまに突拍子もないことを言うんだな…




「にしても凄いな、違う意味で。…凄いっつーか酷い?」



ついペンを回しながらそんなことを呟いた。
切原君はなんか怖くなった。凄い高笑いとかするし財前君にボールぶつけるし。なんなんだ切原君。イケメンに嫉妬してんのか?



「お前も赤也の酷いって思うのかよぃ」


「…酷い、っつーか…痛そうです。」


「…愛美は、赤也自身も赤也のプレイも受け止めたんだぜ」


「へー。そうなんですか」


「お前はどうなんだよぃ」



試合が終わった丸井先輩が私に話かけてきた。
話の内容が理解出来ん。それ私に関係なくね?と思ったが相手は先輩だ。答えるしかあるまい。



「受け止めるも何も、私が口出しても切原君は自分のプレイスタイル変えないでしょ。大怪我しないように気を付ければいんじゃないですか?」


「………お前、ホンット変」


「まぁ財前君相手にボールぶつけたんで一生彼女出来なくなる呪いでもかけたろー思いますけどね」


「お前何であいつの肩持つんだよぃ!」


「そんなん財前君がイケメンで優しくて可愛いからに決まってます」



私の言葉に呆れた視線を送ってきた丸井先輩。
うるせー事実だ。何が悪い。

その後ぶちギレた(?)財前君が2ゲームほど返したが切原君に押しきられて切原君が勝った。



「何だよ切原君かよ」


「何だよ」


「個人的に財前君応援してた。いやこれからもしてる」



この後怒られたり文句言われたりしてうるさかったので財前君のところへ逃げた。
財前君は試合結果にご不満なようで機嫌悪かった。



「……名前にあんな無様なとこ見せたなかったんに…ホンマムカつく」


「頑張ってる財前君も好きですお疲れさまです」


「………」



無言で手を繋がれた。どうしようなにこの可愛い子。反応に困っていたらエクスタシーが財前次審判やろはよ行くで、と財前君を連れ去った。
彼は舌打ちをしながらコートへ戻っていった。