「…木原先輩、あれフォルトっすよ」


「なに?知ったかぶりしないでよ」



忍足様と桃尻君の試合が終わり、財前君が審判している跡部先輩と鳳君の試合してるコートに行くと木原先輩がスコアとってた。そこで鳳君のサービスでネットにかかった。財前君は確かにフォルトと言ったんだが彼女はよくわからん独自のスコアの書き方をしている。
私のは知ったかぶりではなく財前君の言葉を繰り返しただけである。



「絶対正確にとれてへんやろな…」


「なら教えてあげたらいいのに。私じゃなくて謙也先輩なら威嚇せず聞いてくれますよ」


「…何度か教えてたわ。やけど、何度も聞きよるし…同じこと聞いてくるし…」


「…………スコアは口実で謙也先輩に構って欲しかったーとかじゃ…」


「俺の話ちゃんと聞いとったら今頃スコアくらいとれるで」


「…謙也先輩、飴あげます」


「なんで哀れんだん?もろとくけど」


「いや…つい…」


「あ、試合終わったで。次俺と財前やねん。」


「でしょうね。財前君の試合と忍足様の試合だけは私がスコアとるんでこっち来たんですよ」


「は!?ずるいやんか、なんで二人だけやねん!」


「私分身出来ないし二人が限界です」


「………二人だけずるいわ…、早いもん勝ちっちゅー話なんくらいわかっとるけど…」


「………手が空いたら見に行きます、頑張って下さい」


「なんでフェンスよじのぼってまで頭撫でようとするん?」


「なら縮んで下さい」


「無理やし怪我しとるやろ、大人しくしとき」


「頑張って下さい、私はエクスタシーより謙也先輩のが好きです。人間顔じゃありません、頑張りましょうね」


「やからなんで哀れむん?」


「いてててフェンスに足挟まった、いててて」


「何してんねん自分」



謙也先輩は肩を貸してくれるだけでいいのにわざわざ持ち上げてくれた。重いだろうに。


「……」


「……」


「え、なんでおろしてくんないんですか」


「…見た目より重いんやな」


「……」


「……」


「私じゃなく普通の女子ならひっぱたかれてますよ」

「せやな、気を付けるわ」


「安心しろや顔面にボールぶつけたる。とっととコート入って下さいよ」



この後の二人の試合は荒れた。