エクスタシーを財前君に押し付けその場を逃げた私は食堂を前にして銀髪に物置に連れ込まれた。
睨んだらヘナッとしたので睨むのをやめた。もうなんなんだよコイツ。



「…仁王先輩」


「ど、どうしたらいいんじゃ名前ちゃん!き、木原にばらすって言われた…!」


「知りませんよ」


「見捨てんで!」


「…木原先輩の目的が心底わからん」


「……ば、ばらさない代わりに…名前ちゃんはめんの手伝えって言われたんじゃ」


「それ私に言っちゃだめでしょう仁王先輩」


「こんなこと言えるの名前ちゃんしら居らん」


「あんたははめる相手にこれからはめますよとか言うんですか」


「俺ははめようとか思ってなか!」


「というか、なんでですかね?別に木原先輩嫌われたりしてないんだから余計なことしなきゃずっと愛されるでしょうに…。」


「…皆のあいつへの態度はだんだん変わってきたんじゃ。前は文字通りベッタベタじゃったが今はなんかよそよそしいし…一部避けてもいる」


「いや、なんというか…私が木原先輩に負けず劣らずの美少女なら私が邪魔になるのはわかりますよ。でも実際はキモがられてるし友達四人しかいない可哀想な奴でしょ。なんで大したことない私につっかかんのかな、って…」


「そう言われれば…何でじゃ」


「醜いものが許せない、とか?」


「名前ちゃん自分で言ってて悲しくなるときないんか?」


「私にはイケメンすぎる財前君とツンデレすぎるユウジ先輩と素敵すぎる小春ちゃんと気が合う部長がいるので別にその他に何言われようと悲しくありません」


「お、俺もその他…?」


「……………」



その通りだ。
だが目の前で泣かれてもあれだな…、どうしよう。
なんだよこのヘタレめんどくさいな…ヘタヤ先…間違えた謙也先輩のが全然いいヘタレ(?)だったぞ。



「仁王先輩は詐欺師で」


「その他より上なんか!」


「そうですね、で。仁王先輩。ばらされるの嫌なら木原先輩に協力すればいいじゃないですか。」


「…は!?な、何言っとんじゃ!名前ちゃんが…」


「物理的に被害加えないなら別にいいですよ。変な噂流すくらいなら別に」


「ダメじゃ!」


「…まぁ、仁王先輩がそれを断ってばらされても私のせいにしない、私に泣き付かないなら別にどうでも………ほら無理じゃないですか」


「む、無理じゃあなか…!…無理、かもしれん…」


「…私のこと信じてくれる人が四人程いるので、別に何言われても大丈夫です。協力してあげたらどうですか?」


「名前ちゃんキツイくせに変に優しいから、木原の言いなりになるのも嫌じゃ」


「じゃあどうするんですか」


「詐欺師顎で使おうとしたらどうなるか、わからせてやる」



仁王先輩はたまにヘタレから脱皮する。なんなんだこいつ、私にわざわざ報告しにきたのか?


「うお!な、何してんだお前ら…」



ジロー探してた、という宍戸先輩に仁王先輩と二人のとこを見られたのは不覚である。