無駄に広い大浴場から部屋までは走って三分。
この下着姿にバスタオルを巻いた状態で全力疾走したら確実に通報される。強制卑猥罪で捕まる。
途中で誰かに会ったりしたらもう最悪である。
エクスタシーとか忍足様だったら人生が終わる。


この場合、私の取るべき行動は一つである。




「ヘタレ先輩こい…!」



ドアから首だけだして廊下を通りすがった人に頼んで服をとってきてもらう。これしかあるまい。かなり怪しいが仕方ない。とりあえず一番来て欲しいのはスピードスピード言ってる無駄に早いヘタレ先輩。彼なら呆れながら突っ込んで着替えを持ってきてくれるだろう。




「……何しとん」


「期待を裏切れ!なんだこの野郎!」


「引っ張りだしてええ?」


「ぎゃぁああ!」



広い廊下をこちらに歩いてきたのはエクスタシーで反抗したらズカズカと近寄ってきて頭を掴まれそうになったので光の速さでドアを閉めた。危機一髪である。



「白石…お前…変態や変態やとは思っとったけど女湯覗くんはちゃうやろ…」


「誤解やで!さっき名前ちゃんがこっから顔だけ出して引っ張りだして下さいみたいなことやってん」



なんてこった、来たら嫌なやつと来て欲しかった人がセットで来やがった。
ヘタレ先輩だけ引き止めようもんなら奴は残るだろう、奴にランジェリー姿を見られるのだけは嫌だ。
焦りまくってたらヘタレ先輩がエクスタシー連れて通りすぎてしまった。なんてこった



「なんてこった!」


「うぉおおっ!?」


「はっ…君はいつぞやのバンダナ君ではないか!」


「いいいっいきなり顔だけ飛び出してくんじゃねーよっ!おぉ驚くだろーが!」



私がにょきっと顔を出したら通りすがった彼の目の前だったらしい。驚かせてしまった。
だが好都合、彼は確かマトモだ!



「バンダナ君!私今パンツ一丁なんだ!助け……」



逃げられた。