「よく考えたらだめじゃね?こんなとこ真っ暗な中探してたらこけるんじゃね?ヘタレ先輩とかこけるんじゃね?そんなんダメじゃね?明日の練習に差し支えるんじゃね?怪我とかされんのもダメじゃね?」



寒さで震えながらようやく気付いた。もし気付いてもらったとしても助けてもらおうとなんざしたらダメじゃね?ってことに。危ないもん、絶対にこけるよヘタレ先輩。
そうと決まれば自力で合宿所に帰ろう。と意気込み立ち上がると右足に激痛が走った。


「いったぁあ!なんやねんこれ!…は?いやいやいや、ちょ、いや、いやいやいや、んなアホな、もう、え、嘘やろなんでなん」



右足首から木が生えている。

いや木のえだが足首に突き刺さっている。どうしよう地味に痛い。だがこれで決まりだ。




「やっぱ自力で合宿所戻らな……、ユウジ先輩とか小春ちゃんとか財前君がこんなんなったらあかんもん…ついでに部長。部長のオマケに他の人らも…。でも財前君は木が生えてもイケメンやろな…」



くだらないことを言いながら右足を引きずりながら迂回して合宿所を目指す。うぉお地味に痛いww歩いて休んで痛がって。これを繰り返してたらどうにか帰れるだろう。真夜中には帰れる。いや今何時かわからないけども。
 
独り言が増えた気がするがまぁ仕方ない。


痛みで鼻がツンとしてきた。泣きそう、帰ったら小春ちゃんに抱きつこう。




そんなことを考えながら結構歩いたころだろうか、庭っぽいところに出た。砂利道になったのだ。やったぜこれを辿れば帰れる!



「能ある鷹言うんはこういうときに実力だすゆーこっちゃ!これが生き残る奴の違いや!」


「名前ちゃんッ!?」


「ひぃいい!?おぐっ」



砂利道に嬉しくなりすげぇハイテンションで独り言を言って左足だけで跳び跳ねてたら声をかけられた。おかげでバランスを崩して盛大にこけた。今の見られてたのか、恥ずかしいにも程がある。
慌てた様子でこっちにくる人の姿は暗くて見えなかったけど、近付くにつれ見えてきたのは酷く情けないツラだった。