「どこかの痴女に財前君が襲われたらどうするんですか」


「わかった、俺も探すから一人で真っ暗ん中進むな!危ねぇだろ!」


「ありがとうございます流石ピュア…宍戸先輩」



バカみたいに広い森みたいな庭の奥へとズカズカ進むと宍戸先輩が追っ掛けてきてくれた。うわぁなにこれ先輩って感じがする!



「じゃあ手分けしましょうか。」


「人の話聞いてたか?」


「だって財前君が痴女に」


「だぁあっ!落ち着け!」


「財前君みたいなイケメンを一人で歩かせたら痴女の餌食になるに決まっま゛ッ!?」


「な…っ、名字っ!?」


「へぶっ」



足下に深い窪みがあったらしくそれに気付かず見事にはまりすっころぶ寸前でピュア男先輩に腕を支えてもらい無事だった。勢いで胸板ダイブをしてしまったがそれは不可抗力。こんなシーンがラブコメでありました。そんな風に思ってたら慌てて身体を離す彼になんか違和感。


「わっ…悪ぃ!」


「え…なんで謝るんですか。忍足様なら殴ってますけど今のは私が助けてもらったんじゃないですか」


「い、いや…なんつーか…」


「ありがとうございましたピュア…いや間違えた宍戸先輩」


「…おう」


「ラブコメみたいですね」


「らっららラッ!?」


「ちょwなんですかその異様すぎる歌ww顔が真っ赤すぎて面白いんですけどww」


「バッ…!バカ野郎!お前がラブコメみたいとか言うからだろーが!」


「ピュアすぎてこっちが恥ずかしいwwこれ木原先輩にもやって下さいよオトせますよ」


「…、」



しばし宍戸先輩をからかったら木原先輩の名前を出した途端眉間にシワを寄せて苦い顔をした。あ、そうだよね本気で好きだもんね、コメディ要素いらないよね。悪いこといったな、オトすとか。




「…あいつは、そのまま抱きついてきてたぜ」


「超積極的!さすがモテるだけあって場慣れしてるんですかね…手強いなラブコメにも動じないとは」


「馴れ馴れしいだけ…、だろ。今思うと恐ろしいぜ」


「……宍戸先輩…まさかあなたまで仁王先輩現状ですか」


「仁王?何だよそれ」


「あれ俺何で木原先輩好きなんだっけ現状」


「……」



考え込んでしまった彼はやっぱり仁王先輩現状だ。なんだ仁王先輩は感染力の強い思考かなんか持ってんのか?人間じゃないな。



「まぁ今はそんなことより何より財前君です」


「この時間じゃあ…パーティー始まっちまってるな。跡部に戻ってるか聞いてみる。携帯貸してくれ」


「…わ、私の携帯で跡部先輩にかけるんですか」


「携帯持ってきてねぇんだよ」


「忍足様なら番号入ってるんで忍足様にして下さい」



不思議な顔はしたが忍足様にかけてくれるらしく、安心した。
宍戸先輩が私の携帯のボタンを押し耳にあてた時に甲高い声が真っ暗な森みたいなとこに響いた。そちらをむけばすげードレス着た木原先輩がいて胸だしすぎてるのにビビった。宍戸先輩も視線は胸だ。

つーか、そんな格好でこんなとこに何しにきたんだ木原先輩。