「忍足様聞いてくださいあのエクスタ野郎私の音楽プレイヤーとブラックサンダー盗みやがった」


「それは自業自得やんな」



忍足様もダメとなると頼る人がいなくなった。部長はエクスタシーさん苦手だからダメだ。ちっ、手詰まりか。



「名前ちゃん一人忘れとるぜよ」


「ちっ、仁王先輩か…まぁこの際仕方ないか…」


「舌打ちくらい隠しんしゃい。可愛くないのぉ」


「エクスタシーさんから音楽プレイヤーとブラックサンダー取り戻せたらもう舌打ちしませんよ。」


「任せんしゃい、得意分野じゃ」



うっわなんか知らないけどむっちゃ生き生きしてる。なんだこいつ楽しそうだな。



「で、どうするんですか」


「俺がなんて呼ばれとるか思いだしんしゃい」


「尻軽」


「…名前ちゃんはそんなに俺が嫌いなんか」


「何普通に傷ついてんですか、ヘタレにならないでくださいよ仁王先輩。可愛くないですよ!」


「…名前ちゃんSじゃろ」


「いいえノーマルです、先輩がヘタレなだけでしょう」


「俺がこんな風になるんは名前ちゃんだけじゃし」


「え…なんか気分悪いな…」


「……」



そろそろ泣きそうなので軽く謝って詐欺師の仁王先輩どうするんですかと声をかけた。途端に元気になった。なんだこいつ。



「仁王先輩キャラ変わりすぎて引く」


「誰しも少なからず自分を偽ってるもんじゃ」


「え、なんですかそれ」


「…さ、詐欺師とかコート上だけやのにそのイメージがついてまわって…ひ、引っ込みがつかなくなったんじゃ」


「………」


「木原は俺がこういう奴じゃと知っとるから…今思うとなんで言ったのかわからんけど…。バ、バレるのが怖くて…」


「…………」


「だ、だから…なんとかしようとして……」


「もういいですよ…なんか情けなくなってきた…」


なんだかな…急に小さくなった仁王先輩の背中に肩を手を置いた。
なんだかな…。もう本当になんだかな…。