「名字さん、俺いつ逃げていいって言ったっけ」


「すみません私四天宝寺にいる部長に呼ばれてて…」


「へぇ、名字さんは俺より四天宝寺をとるんだね。悲しいなぁ」


「どうもすみません、では失礼します」


「名字さん君はどこの生徒だっけ」


「王者立海です」


「わかってるならいいんだよ」


なぜだ。
今日は幸村先輩の機嫌が悪いのか、歩いていただけで絡まれた。俺の前を気安く歩くなブスってことか。
だが私はこれで終わる女じゃない。



「いや立海の写真は撮り終わりましたし…いても役立たずですから部長のとこ行きます」


「へぇ、今日は随分足掻くんだね。」


「今日は随分絡むんですね」


「朝から機嫌が悪くてね、それで目の前をスキップしてる名字さんを見掛けたからつい」


「そうですか…、じゃあもういいですか?私のライフがなくなりそうなんで」


「それ俺には関係ないよね?」



幸村先輩の綺麗な顔に微笑みをプラスさせたら好青年に見えるだろう。喋らなきゃ好青年である。言葉が刺々しいのでなんかもう残念だ。
というか横暴にも程がある。




「…何しとん」


「ナイスタイミングです謙也先輩!忍足の血はナイスタイミングなんですね!」


「やぁ、俺の機嫌の悪いときによく出てくるよね。一匹見付けたらもう一匹わいて出てくるなんて名字さんって虫か何かなの?」



謙也先輩がラケット片手に通りすがったので逃がさないように服を掴んだ。その光景が気にくわなかったのかやんわりとゴキブ○呼ばわりされた。
直接言われた方がまだマシである。



「神の子が機嫌悪いんです助けてください」


「………」


「え、謙也先輩…シカトですか酷い」


「も、もっかい言うて」


「酷い」


「そことちゃう!助けてのとこや!」



酷いと繰り返したらどうも違ったらしい。
そうか頼られたのがそんなに嬉しかったのか…普段どんだけ不憫な扱いされてんだこの人…



「ここまでムカつく光景見せられた俺はどうすればいいのかな?」


「俺用事思い出したわ」


「このヘタレがぁあ!」



幸村先輩の笑顔に走り去った彼を見てもう二度と頼らないと誓った。






――――――



幸村はどう書いても納得出来ないので焦ります…

横暴な子になってしまった…!

こんなことになりましたがリクエストありがとうございました!



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