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場所を移動して
出版社のお偉いさん達が
集まっていた








「こんばんわ…
J-raxのまろんです
お招きいただいて
ありがとうございます」

「わー!まろんちゃん!
忙しいのに来てくれて
ありがとうね、嬉しいよ」









こっちはなんも
嬉しくないっつーの


何このフレンドリーな感じ
軽くない!?
仕事の為に来たのに…
もう、早く帰るよ










「では、まろんちゃんも
来てくれたことだし
乾杯しましょうか!」

「あれ、まろんちゃんは
お酒飲まないの?」

「これから予定があるので
乾杯したら帰らせて
いただきます、すみません」

「えー、ちょっとくらい
飲んでいったらどう?」

「車で来てますので…」










ポケットに入っている
携帯が振動する
きっと臣君からだ










「やっぱり少し遅れる」

の返事は

「分かった」

その一言だけだった











さっさと乾杯を終わらせて
ダッシュで帰れば
一緒にクリスマスが過ごせる


長話しはいいから
さっさと始めてよ…









「じゃー今日は
忘年会も兼ねた
クリスマスパーティーと
言うことにしましょう!
乾杯!!!」










全員とグラスを合わせ
ウーロン茶を少し
喉に流し込む










さぁ、帰ろう
臣君が待ってる











「まろんちゃんのお友達も
ここに呼んだら?
もちろん僕たちが
お金出すからさ」

「いえ、遠慮させて頂きます
では急いでいるので…」

「もう少しだけダメかな?
まろんちゃんともっと
お話したいんだけどな」













話が違うじゃない
乾杯だけでいいって
言ったじゃない



え…?何?
どういうこと?
















「あの、本当に急いで…」

「今後の仕事よりも
大事な用事なのかい?」

















ハメられた…

















きっとここで帰ったら
もうJ-raxをモデルに
起用しないと
言いたいんだろう













汚い手使いやがって…
ふざけんなよ


まるで勝ち誇ったような顔
これが出版社の裏の顔?
絶望しかない













他の奴らは気にもせずに
お酒をガンガン飲んでいる


ふと時計を見ると
もうすでに23時を
過ぎていた


もう、間に合わない














今どんな思いで
臣君は待っているんだろう



ただ一緒に過ごせれば
それだけでいいって



言ってくれていたのに…














私はどこまで
最悪な彼女なの?














「…失礼ですが
何を考えているんですか?」

「決まっているじゃないか
もっと可愛い可愛い
まろんちゃんと
お話がしたいんだよ
いろんな話をね?」















腹が立った
こんなクソじじいのせいで
私の一生に一度の
今日という日を
台無しにされるなんて




だから出版社だって関係ない
本当のこと言ってやるよ
お話したいんでしょ?
























「私これから
彼氏と、デートなんで」
























嘘は言ってない
本当のことだもん
躊躇うことなんかないでしょ?



良いよ、明日の週刊誌に
私の熱愛説が
大きく掲載されたって
全然構わないんだから




















今後のことなんて
何が起こるか
分からない





プロ意識が足りないって
言われてもいい





もし騒動になっても
メンバーには絶対に
迷惑かけないから
自分で責任取るから




























待ってて、今すぐ行く



絶対に間に合うから



一緒にクリスマス



過ごそうね




































必死に走って
駐車場に向かう







エンジンをかけて
ハンドルを握って
前を向く





















あれ?なんでかな?
視界がぼやけてる



























溢れる涙を
止めることができなくて





























ごめんなさい




恋人同士になって
初めてのクリスマス




一緒に過ごすことが
できなくて
ごめんなさい







































― 12/26 00:06 ―


 

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