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普段は全く聞こえない
時計の秒針が
今日ははっきりと聞こえる








全く進まない時間に
本当に時が経っているのか?
と疑うほど








「あと何分で終わる?」

マ「はい?さっき始まった
ばかりじゃない」

「嘘!?もう1時間は
経ってるでしょ!?」

マ「残念、まだ15分」

「えー、もう最悪…」










さっき臣君から
仕事終わったと
メールが届いた










夜まで仕事が
入ってるとはいえ
やっぱり早く会いたいから
さっさと仕事を
終わらせたいんだけど…
全然時間が進まない









「ちょっと休憩しようか」

「休憩なんていらないです
どんどん撮影
続けていきましょう!」

「そう?まろんちゃんが
そう言うなら…
衣装チェンジしようか」









どんどんいこう
今ならどんなポーズでも
カメラマンさんの要望に
答えられるよ









マ「そんなに急がなくたって
いいじゃない?
遅くなるって
言ってあるんでしょ?」

「早く会いたいんだもん」

マ「クリスマスだもんねー」










クリスマスじゃなくたって
私はいつでも
すぐに会いにいきたいよ











でもさっきまで時間が
進むのが遅かったのに
カメラと向き合って
撮影に夢中になってたら
あっという間に
時間が過ぎていた










そういうときだけ
自分がプロなんだって
思ってしまう










「はい、オッケー
お疲れ様!」










予定より30分早く終わっても
もう22時半だった











やばいよ、クリスマスが
終わっちゃう












急いで臣君に
メールを入れる


「今すぐ向かう!」


って










スタッフさんたちに
挨拶をして楽屋に戻る


いつもは化粧を
落として帰るのに
そんな時間はない


早く会いたい
早く会いたい
クリスマスが…
今日という日が
終わってしまう前に











「お疲れ様でした!
ではお先に…」

「まろんちゃん、これから
少し時間ある?
みんなで飲みにいかない?」

「え…ごめんなさい…
私これから友人と予定が…」

「そう?残念だなぁ〜
まろんちゃんとはまた
お仕事したいって
思ってたから」










何、この雰囲気



何で来ないんだよって顔
空気読めよって顔



いくらお偉いさんでも
私にだって
予定があるんだよ
それは大事な…









マ「無視して早く行きな?
捕まる前に…」









小声でみぃちゃんが
そう言ってくれて
スタジオを後に
しようとしたら










「まろんちゃん!待って!
ちょっとでいいから
せめて乾杯だけでいいから
来てほしいな」

「ごめんなさい…私
今日車できてるので…」

「お酒は飲まなくていいから
出版社の代表たちが
是非まろんちゃんに
会いたいっていうからさ」











…最悪












「今後J-raxともいっぱい
仕事していきたいし
ね?少しでいいから」

「……じゃぁ、本当に
乾杯だけお邪魔します…
でも終わったらすぐに
帰りますから」

「うん、全然いいよ
ごめんね、ありがとう」











断ろうと思えば
断れるんだけど…
仕事のことが絡むと
自分以外の人に
迷惑がかかってしまうから











予定より早く仕事も
終わったんだし
乾杯だけだし…











ごめん、臣君
もう少し待ってて?












絶対に日付が変わる前に
帰るから











どうか一緒にクリスマスを
過ごせますように…






 

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