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そして21時










臣君は明日仕事が
早いらしいので
帰っていった









それを見送った後
車のキーを持って
家を出た










向かった先は
親友の家


アポは取らず
突然の訪問













ピンポーン













…出ない














仕方がないから
電話をかけてみた














「…もしもし?」

「あ、隆二君?
今どこにいるの?」

「家だけど」

「…何、居留守?」

「…え?」













そう言って
部屋の中から
ドタドタと足音が
聞こえて鍵が開いた













「なんだ、まろんか」

「一回で出てよ」

「で、何?」

「部屋に上がらせて
くれないの?」

「だって汚いし」

「そんなの今更でしょ!
私と隆二君の仲じゃない」














結構無理やりだったけど
渋々家の中に入れてもらった


でもやっぱり…汚い













「ちょっとこれは
想像以上に汚いなぁ」

「文句言うなら
さっさと帰れよ」













なんとか座る場所を
確保して
久々に来る親友の部屋を
見渡す



うん、何も変わってない














「あれ、今日広臣と
会ってたんじゃないの?」

「明日仕事早いから
帰ったよ」

「…それ分かってて
なんで俺ん家来るんだよ」

「あ、そっか!」

「ったく、まろんはいつも
広臣のことしか
考えてねーよなぁー」













そう言いながらも
ちゃんと飲み物を
出してくれる隆二君は
本当に優しい人














「で?こんな時間に
しかも連絡なしに
ここに来た理由は?」

「そう!もうどうしよう!
隆二君!!!!」













そうそう!ここに来た理由を
少し忘れちゃってたけど!
一大事が起こりました















「どうしよう…」

「何だよ」



















私…



















「臣君にあげる
クリスマスプレゼント
何も用意してないの…!!」















そう、クリスマスなんて
去年もただの12月25日で
何もできなかったから
すっかり忘れていた
















今年のクリスマス
私には彼氏がいることを


















「まさか、それだけのことで
わざわざここまで来たの?」

「そうだけど…」
















深いため息をつく隆二君
…あれ、怒ってる?














「あのな、そんなこと
自分で考えないと
意味ないだろ?」

「だって私より
隆二君の方が
臣君と一緒にいる時間
長いでしょ!?」

「だからなんだよ」

「何か欲しいものとか
最近言ってなかった!?」

「特に何も…」

「それに男の人って
今何欲しいのか
全然わかんないし
こんなこと聞けるの
隆二君しか
いなかったんだもん!!」













この時期に何欲しい?
なんて聞けるわけなくて


かと言って
何も準備しないのは
それはさすがにまずい














「もう、頭にリボン巻いて
全裸でベットに寝ながら
「私がプレゼント」って
言えばいいじゃん」

「それ、隆二君が
されたいプレゼントでしょ」

「きっと広臣も
されたいはず!!」

「臣君は隆二君とは
違うの!!」

「だったらもう
俺分かんない!」













ソファーに寝転がりながら
携帯を見てる隆二君


この…人事だと思って…














「じゃぁ、隆二君だったら
彼女から何が欲しい?」

「だから全裸で…」

「それ以外」

「…それ以外だったら…
別に何もいらないかな
ただ一緒に居られれば
それでいいかも」

「そんなもんなのかなー」

「手料理とかは!?」

「結構作ってあげてるし…」

「じゃーお揃いの時計とか
身につけるもの?」

「でもそれって
芸能人同士だと
危ないんじゃ」

「ま、それもそうか」













結局何もいい案が浮かばず
お互い何も話さずに
無言になってしまった














「もう、どうしよう…
何もないのは
本当にまずいよね?

…隆二君?」















気づいたら
ソファーで寝てしまっていた


だから勝手に悪いと
思いながらも
ベットから布団を
持ってきて
掛けてあげた













「疲れてるのに
突然ごめんね…」














聞こえてるのか
分からないけど
明日も早いんだし
もう帰ろう














「…まろん」

「あれ、起きてた」















帰る支度をしている時
突然呼び止められて













「あいつは本当に
何も望んでないよ」

「え?」

「クリスマス一緒に
過ごせたらいいなって
ずっと言ってたから」

「…そうなんだ」

「だから一緒に居てやって
甘えさせてあげて
ただそれだけでいいんだよ」





















きっと物ではなくて
気持ちだって
言いたいんでしょ?





それもそうだね





限られた時間でしか
会えない私たちだから





二人で過ごす時間を
大切にしないと
駄目なんだね
















ただ一緒に同じ時間を
共有できる幸せを
いつも感じているから





深く考えずに
たくさん愛して
あげればいいんだね






















「ありがと、おやすみ」

























お互い幸せな
クリスマスになりますように


 

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