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今日のスケジュールは
午前中で終了








なので次のアルバムに
向けて自分の部屋に
引きこもって
曲作りに励んでいた









臣君が来るのは
18時過ぎ
それまでひたすら
パソコンと
キーボードと
睨めっこ










ヘッドホンからは
自分の作った曲が
流れていた










今はまだ17時
あと1時間
臣君が来る
ギリギリまで
やろうと決めた











集中力とは
物凄いもので
時間はあっという間に
過ぎていく












時間を気にして
やっていたつもりでも
もう18時を過ぎて
しまっていることに
私は気がつかなかった












インターホンの
鳴る音と
閉めていたはずの
家の鍵が
開く音には
当然ながら
気がつかない














ヘッドホンから
軽快なリズムの
音漏れが
部屋に流れている

















突然、後ろから
ヘッドホンが
外されて
驚いて後ろを
振り返ると















強引にキスをされた














もちろんそんな事が
できるのはたった一人













「臣君…!」

「お疲れ」












唇が冷たくて
妙にドキッとした


滅多にこんなこと
してこないから
本当に驚いた













「ごめん、時間
気にしてたんだけど…」

「全然いいよ
疲れてない?」

「ううん、全く
臣君は?」

「疲れてないよ」











ちょっと照れくさくて
目を合わせられないでいた


それを知ってか知らずか
もう一度、今度は優しく
キスをしてくれた













「どうしたの?
さっきなんか突然
キスなんかしてきて」

「だって振り向きざまに
強引にキスされたい人に
選ばれたんだもん」

「あ、それでか…」













本当にそういう所
可愛いなって思う












臣君以外に選べる人なんて
いなかったからなのに


どんなキスでも
臣君となら嬉しいのに













少し温まった唇に
もう一度触れたいと
思ったのは秘密














「寒くない?
温かい飲み物でも飲む?」

「いいの?」

「ココアでもいいかな?」

「ごめんね、曲作りの
途中なのに」

「いいのいいの
もう終わらせるから」















作ったばかりの曲の
保存作業をして
部屋を出た














もう辺りは暗くなっていて
リビングも真っ暗


電気をつけて
牛乳を温める















「新しいマグカップ
買ってみたんだけど
どう?可愛くない?」

「お揃いだね」

「うん、お揃いの
マグカップ
ずっと欲しくてさ」














私と臣君用の
色違いのマグカップ


買ったばかりのコップに
温めた牛乳を注いで
ココアの粉を入れて味見














「このくらいでいい?」

「うん、十分」














こんな些細なやり取りでも
とても幸せに思える私は
本当に幸せ者なんだと思う















「今年もあと少しで
終わっちゃうねー」

「そうだね
いろんなことがあったね」

「本当に充実してた」

「クリスマスの予定は?」

「ごめん、普通に
夜まで仕事なんだよね」

「そっか…」














本当ならどこかに
遊びに行ったり
したかったんだけど
今年は無理そう














「まろんの家来ていい?」

「全然いいけど…
何時になるか
分からないよ?」

「大丈夫、何時になっても
起きて待ってるから」
















恋人同士になって
初めてのクリスマス

















どんな日になるのかな?

 

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