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今、私がそわそわ
している理由








それは今日…
あと数分で私の家に
臣君が久々に来る









久しぶりに会えるから?









いいえ、違います
それは…













「まずい…言い忘れてた…」















今日は私の主演してる
ドラマの放送日






有難いことに
高視聴率で
臣君も面白いって
言ってくれてたから







今日一緒に見れると
思ったんだけど…


















「キスシーンあるんだ…」

















恋愛のドラマだから
あるかもしれないとは
言ってあったんだけど…






ツアーもあって
忙しすぎて
頭が回らなかった…







口で言うより
先にメールで
言っておこうと
メール画面を開く













ガチャッ…












ドアの鍵が開く音
もう…手遅れ…













「あー疲れたぁぁあ」

「お疲れ様、早かったね」

「終わってすぐに
帰ってきたからね」















いつもならここで
おかえりのキスをする






でも今日はなんだか
気が引けてしなかった














「あれ?いつものは?」

「…後でいっぱい
できるしゃん!!ね?
寒いから早く入って」
















こんな苦し紛れの
言い訳みたいなのしか
出来なくて
変に意識して
バカみたい













もうさっさと
言ってしまおう!












「あのさ、今日のドラマ…」

「あぁ!そういえば
今日だったね
もう始まるじゃん
間に合ってよかったー」















完全に言うタイミングを
壊された…













そそくさと手を洗って
ソファーに座る臣君





だから私はいつものように
臣君の好きな牛乳を
コップに入れて持っていく


















「今日はどうなるの?」

「あのね!実はね?今日…」

「あぁ!やっぱやめた!
言わないで!
楽しみがなくなっちゃう!」


















だから…言わせてよ…(涙)



















結局言うタイミングを逃して
放送が始まった




















最初は何事もなく
進んでいく
笑いながら
時には真剣に
























そろそろ…

























くる…






















キスシーン前の雰囲気って
なんとなく分かる





撮った側だから
かもしれないけど






お互い見つめ合って
どちらからともなく
近づいていく



















そして最初はそっと…
だんだん激しくなって
濃厚なキスシーン




















画面でみると
なかなか激しいキスで
ちらっと臣君を見たら
ずっと画面を見つめてる























ここは、言わなかったこと
謝らないとね

























「言わなくて…
ごめんなさい」

「…うん」





























うわぁ、めっちゃ怒ってる…
眉間にしわが寄ってるし
すごい不機嫌な顔























テレビに映る私は
幸せそうに笑ってる





今の私とは真逆




こんなふうに
臣君とも笑い合いたい





何か…言わないと…





























「怒ってるよね…」

「ぶっちゃけすげー嫉妬
今すぐあいつの顔
ぶん殴りに行きたい」

























意外に臣君…怖い…(笑)






いやいや笑ってる場合じゃ
ないんだけどさ

































「でも、武道館もあって
忙しい中で撮ったやつだから
何も言えない
凄く良いシーンだと思うよ」

「臣君…」































やっぱり臣君は大人で
私のことを一番分かってる
支えてくれる






































「ダメだ、ごめんそれ
半分本当で半分嘘」

「え?」





































目も合わせず
ギュッと抱きしめてきた


































「さすがに自分の彼女の
キスシーンを
平気で見てられるほど
俺、大人じゃない」



































首元にたくさんキスをして































「あいつと何回キスした?」











































甘く激しく
キスに溺れてく





























やっぱりあなたとの
キスじゃなきゃ嫌なの

 

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