キラキラ星
仕事が終わって携帯を開くと、かなりの数の着信が残っていた。敬浩から13件、隆二から8件…この2人が絡んでくるとろくなことがないから掛け直すか少々迷ってしまう
でも本当に何かあったのかも…と、とりあえず敬浩に駆け直すも…出ない。ふざけるな、散々着信を残しておいて出ないなんて。もう絶対に私から掛けないから!そう思って鞄の中に携帯を入れた。するとブーブー…とかすかに感じる携帯の震え
「もしもし?」
「やっと繋がった…ていうか仕事終わった?」
「うん、今終わったところだけど…どうしたの?」
「今さ、みんなで飲んでるんだけどこれから来れない?」
「え〜今から?もう少しでクランクインするから台本読んだり、準備したいことあるんだよなぁ」
「あ、翔君も来てるけど?」
え…青柳さんもいるの…?
「青柳さん、大丈夫なのかな?」
「まぁ俺が無理やり誘ったんだけどさ」
「いいよ、今回は。みんなで楽しんで?」
「あーそう?じゃ、落ち着いたらみんなで飲もうな」
「うん、ごめんね。じゃ」
断ったはいいものの…行きたかったな〜なんて少し後悔。だって青柳さんとはもっと仲良くなりたいし。でもやっぱり仕事で迷惑かけられないから、断って良かったんだと言い聞かせる
そんな中…
「怜はドラマの準備で忙しいって」
「いいんですか?青柳さんは」
「いや〜だって敬浩さんが広瀬さんが来るっていうから…」
「悪い、俺の中で怜が来ないって選択肢はなかったわ」
「本当に広瀬さんと仲良いんですね」
そりゃ、俺と怜の仲だ。なんだかんだいつも怜は来てくれていたから。極度の人見知りもだいぶ直ってきているような気がするし(本人はどう思っているか分からないけど)
「一つ聞いてもいいですか?」
「ん?何、隆二」
「敬浩君って、本当は怜のことどう思ってるんですか?」
隆二の目つきが変わったのは明らかだ。薄々は気づいていた。
―もしかしたら隆二は怜のこと好きなのでは?―
「どう思ってるって?そんなの、一番の理解者で…」
「そうじゃなくて、好きか好きじゃないかってことです」
隆二、飲みすぎだって…そう将吉は言っているけど、そうじゃない。きっとずっとこのことを聞きたかったんだろう。
「それ聞いて、どうすんの?」
「返答によっては、俺も頑張ろうかなって」
やけに周りの音が大きく聞こえる。店員の声や人の笑い声、昨日観たテレビがさ〜なんて今まで隣の席の会話なんて全く聞こえなかったのに、こんなにもハッキリ聞こえるもんなのか
「…友達以上、恋人未満。でも確実に俺の中では大きい存在になってるよ」
「そうですか…」
「ま、怜は何考えてるか分かんないからな〜アホだし」
「え、アホなんですか?見た目めっちゃしっかりしてそうなんですけど…」
「翔君、今に見てろ?とんでもないことやらかすと思うからさ」
「確かに、怜は天然っていうかどこか抜けてるっていうか…」
「お前が言うなよ、将吉がそんなこと言ってるって怜が知ったらお前殺されるかもよ?」
上手く話はごまかしたけど…うかうかしてられないみたいだ。
俺はいつ、自分に素直になれるんだろう…