ロイヤルミルクティ | ナノ

ミルクティ、きみの心臓は甘いのですか







しばらく敬浩と話しをしていない日々が続いていた。情けないが、自分から連絡をとる勇気がなかった。でも待っても待っても敬浩から連絡がくることもなかった。







もうこんな無駄な時間を過ごすのは止めたかった。







そんなことを思っている時、東京ドームのライブに招待された。もちろんマネージャーから聞いた話だったけど、断る理由もないので行くことにした。






「うわっ、ステージ近!いいのかな…こんな場所に座ってて」

「いいんじゃないの?敬浩さんからのご招待なんだからさ」

「変に緊張しちゃうよ…」






でもライブが始まると、変に緊張していたはずなのにそれすらも忘れて心の底から楽しんでいた。みんな私が来ることを知っているみたいで、近くまで来たら何かと合図を送ってくれた。






将吉君なんてピョンピョン跳ねてとっても楽しそう。こっちへ来い!的なジェスチャーされるけど、無理に決まってるから。ていうかこっちに来すぎ!バレるっつうの!!






たくさん将吉君は来てくれるのに、敬浩は全然来てくれなかった。何よ、自分から招待してきたくせに…こっちに来ても遠い所ばっかり見て、そりゃぁ、二階席とかのファンのことを大切にしてるのは分かるけど…






ここまで来て、私のことは無視ですか…






あっという間にライブが終わって帰ろうとした時、突然スタッフさんに呼び止められて、楽屋に来てほしいと言われた。これも断る理由がないのでもちろん行くことにしたけど…





「私は眞木さんとか将吉君に会いに行くんだからね!」

「なになに?敬浩さんは?喧嘩してるの?」

「別に!知らないわよ、あんな奴!!」





楽屋に行く最中に、隆二と臣君に会った。どうやら二人も楽屋に呼ばれているみたいで、ライブの話をしながら歩いていた。そしていきなりマネージャーが、私はここで帰ると言い出してささっと帰ってしまった。






「なんか変なのー。うちのマネ、篤志さんの大ファンなのに帰っちゃうなんて」

「まぁいいじゃん。マネージャーさんも忙しいんじゃないの?」

「ていうか隆二達は招待されなくてもいつも行ってるんじゃないの?」

「いちいちうるさい!いいからついてこい」

「はぁ〜い」






ライブの裏側ってとてもドキドキする。ファンの方からもらったプレゼントとか色々置いてあってとっても新鮮な気持ち。






でもやっぱりあれ以来敬浩と会ってないから、どんな話をしたらいいのか…とかまずは謝ろう!と思ったり、気持ちの整理がなかなかつかない。そして楽屋の前に着く。






「なぁ、怜。俺はこれからどんなことがあってもお前の一番の味方でいるから、辛いことがあったら何でも言えよ」

「ん?なになに?どういうこと?」

「幸せになれよってこと」

「……ちょっと臣君、隆二頭おかしくなっちゃったの?」

「ははは、まぁそのまんまだよ。ほら、中に入って」






なんだか訳がわからないまま楽屋のドアを開ける。






そこにはEXILEのメンバーが全員揃ってて、HIROさんに他の三代目のメンバー、青柳さんにGENERATIONSのみんなが居た。一番後ろから敬浩が大きい花束を持って私の前までやってきた。






「えっ、なにこれ…私誕生日とかじゃないんだけど…」

「怜、今まで恥ずかしくて言えなかった事を全部言うから、聞いて」






何が起こっているのか分からなくて一人でパニックになっていたら、シーンと静まり返る部屋に敬浩の声が響く。






「EXILEに加入したての頃は毎日が葛藤だった。必死で夢を叶えたのに、なんで周りの意見に惑わされないといけないんだと思う日々で、とても辛かった。でもそんな時に怜が支えてくれた」






ジワリと目頭が熱くなる。






「ずっと近くで支えたいって言われたときは本気で嬉しくて、甘えようとも思ったけど…あの時は恋愛なんてしてる余裕がなかったんだ。だからずっと友達でいようって言ったんだ」

「うん…そうだったね」

「でもそれが俺たちの大きな壁になっていった。親友っていう壁をなかなか壊すことが出来なかった。壊してしまったら、この関係が続かないんじゃないかって。怜はもう親友のままでいいって思ってるんじゃないかって…不安だったんだ」






敬浩の気持ちが痛いほど分かる。私たちは同じ気持ちで、同じ不安を抱えていたんだね。







「だけど、俺は親友のままじゃ嫌だって思った。怜には一番近くにいてほしい。支えてほしい。そばで笑っていてほしいって思った」







綺麗に彩られた大きな花束が差し出される。膝をついて、それはまるで…プロポーズをするときの姿勢のよう…







「愛してる…世界一幸せにしてみせる。もう親友は止めよう…」







「俺と付き合って下さい」







溢れた涙が止まらなくて、ただただ頷くことしかできなかった。






「怜、声を聞かせて…?」

「……うん、私もずっと好きだったよ」






するとみんなが盛大に拍手をしてくれて、おめでとう!と祝福してくれた。照れくさくて顔を下に向けていたらギュッと敬浩に抱きしめられて、一気に幸せを感じることが出来た。






こんな盛大なサプライズで告白されるなんて思ってもいなかったからとっても驚いたけど、それが敬浩なりの覚悟なのかなって思った。






「もうビックリした。こんなみんなの前でしなくたっていいのに…」

「みんなの前で言いたかったんだ。HIROさんに相談したら、見守っててあげるって言ってくれて、そしたらみんなも協力するって言ってくれてさ」

「そうだったんだね。でも本当に嬉しい」






またギュッと抱き合っていたら、どこからか「キース!キース!」なんてコールが始まった。絶対将吉君からだ…一番楽しそうだし。






恥ずかしがっていたら、グイっと顎を持ち上げられて目が合う。今度こそ、あなたとの理想のキスをしよう。






甘くて味わい深い…まるでロイヤルミルクティのような愛のある、優しいキスを…






「愛してるよ、怜」

「私もだよ、愛してる」






あなたとならどんな困難も乗り越えていける。きっとたくさん喧嘩したり、もちろんすれ違うこともあるかもしれないけど、絶対に今この瞬間に感じた幸せな気持ちを思い出すだろう。





これからもずっと幸せでいようね。
















_____END






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