君を探す旅に出た
事務所に着くと、玄関先で将吉君が待っていてくれた。
「え!?怜…どうしたんだよ…」
「将吉君…私、もうダメかも…」
「とりあえず、中に入って」
通された部屋には、臣君ともう一人知らない人がいたけど、今はご挨拶してる余裕はない。泣きたいけど泣きたくない感情が入り混じって少し混乱している。
「将吉君…私ね、もう気持ちがぐちゃぐちゃで、訳わかんなくなってるの…」
「そっか。話せる範囲でいいから、ゆっくり話してよ」
「僕たち、邪魔ですよね…?」
「いいの。臣君、大丈夫だよ。それと…えっと…あなたは?」
「すみません、白濱亜嵐って言います!広瀬さんのことは良くテレビで拝見してました。青柳さんとのドラマもめっちゃ面白かったです!」
白濱亜嵐君ね…可愛い顔してるじゃないの…でもね、キミね、今言ってはイケナイことを言ったのよ…
「あのドラマのせいよ、あのドラマさえなければ…!」
「もしかして、敬浩君となんかあった?」
「………無理やりキスされた」
「「「えぇ!?!?」」」
多分、臣君と亜嵐君は意味が分からなくてかなり驚いてると思う。将吉君でさえこのリアクションだから相当よね。私も訳が分からないよ。
「臣君がいるところでこんな話しちゃいけないと思うんだけどね…最近隆二の態度もよく分からなくて」
「もしかして、あの時のこと?怜が帰った後もずっと機嫌悪かったんだよね…」
「そっか、隆二って怜の事好きっぽかったしね…」
「え、そうなの!?私知らなかったんだけど…」
「すみません、僕全然話についていけません」
「亜嵐は黙って聞いてろ」
そして青柳さんに言われたことや、あのキスシーンの時に感じたことも全部さらけ出した。言わないと潰れてしまいそうだったから…でも三人とも黙って聞いてくれていた。
「敬浩君も、かなり焦ってたんじゃないの?俺から見ても、敬浩君は怜の事好きだし、そりゃ嫉妬すると思うよ」
「でも、私とは友達でいたいって…」
「いつの話してんだよ。数年前だろ?気持ちは変わるに決まってるじゃん」
「うん、そうだよ。全然二人のことは知らないけど、気持ちは変わると思う」
「僕もそう思います!」
「隆二のことは…相方だから何とも言えないけど、怜の気持ちはもう決まってるんでしょ?」
決まっているよ…私は昔も今も敬浩が好きだから…
「まぁ、ちゃんと話し合いなよ。言葉にしないと分からないこともたくさんあるよ」
「そうそう。とにかく、家に帰りな」
「…勉強になります!」
「亜嵐…余計なこと言うなよ」
「……あはは、なんだか気が楽になったよ。ありがとう」
そうだ。言葉にしないと伝わらない事はたくさんある。親友の立場を守ろうとしていたけど、私はもう親友は嫌。あなたの傍にいたいのは今も変わらず思うよ。
この先どうなろうと、あなたとは切れない絆で結ばれているはずだから…大丈夫だよね。
「私、頑張る。ちゃんと気持ち伝えてくるから」
「おう!頑張れ!」
「応援してるよ!」
「頑張ってください!」
当たって砕けろ。いや、私は砕けたくない。
この恋は、絶対に叶えたいものだから。