小説 | ナノ

03




指定された場所に向かうと、
1台のバスが止まっていた。





「バスって(笑)」

「みんな乗れるようにしてくれたんじゃない?」

「気が利いてるね」






周りにバレないようにカーテンを閉めてるが、
中からうるさい声が丸聞こえなので
あまり意味が無さそう。






「声が丸聞こえですけどー!」

「絵菜ちゃん!みんな!おかえりー!」

「ただいまー!」






バスの中にはトランプが散乱しており、
ババ抜きをしていた様子。






私が真っ先に向かった先は…






「臣君、なんで一度も連絡くれなかったの?」

「せっかくの休暇の邪魔しない方がいいかなって」

「それ隆二君に言って!
もう毎回毎回メールきて
正直返事するのめんどかった」






一番前の席から文句が聞こえてきたのは無視。






他愛もない話をして目的地へ向かう。
もう本当に楽しすぎて修学旅行に来てるみたい。
笑いすぎてお腹が痛くなる位笑って、笑って…







笑って…







「ぐ、具合悪い…」

「大丈夫?疲れた?」

「多分時差ボケ?」

「そっか、少し寝たら?」







ユラユラと揺れるバスに、
バス酔い+時差ボケで完全にノックアウト。







「じゃ…少し寝ようかな」

「ん、おやすみ」








窓際に頭を寄せて目を閉じた。









もう少し私に勇気と度胸があれば、
彼の肩に寄り添って寝るんだけどね。









なーんて。
そんなこと多分一生できないけどね。








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