指定された場所に向かうと、
1台のバスが止まっていた。
「バスって(笑)」
「みんな乗れるようにしてくれたんじゃない?」
「気が利いてるね」
周りにバレないようにカーテンを閉めてるが、
中からうるさい声が丸聞こえなので
あまり意味が無さそう。
「声が丸聞こえですけどー!」
「絵菜ちゃん!みんな!おかえりー!」
「ただいまー!」
バスの中にはトランプが散乱しており、
ババ抜きをしていた様子。
私が真っ先に向かった先は…
「臣君、なんで一度も連絡くれなかったの?」
「せっかくの休暇の邪魔しない方がいいかなって」
「それ隆二君に言って!
もう毎回毎回メールきて
正直返事するのめんどかった」
一番前の席から文句が聞こえてきたのは無視。
他愛もない話をして目的地へ向かう。
もう本当に楽しすぎて修学旅行に来てるみたい。
笑いすぎてお腹が痛くなる位笑って、笑って…
笑って…
「ぐ、具合悪い…」
「大丈夫?疲れた?」
「多分時差ボケ?」
「そっか、少し寝たら?」
ユラユラと揺れるバスに、
バス酔い+時差ボケで完全にノックアウト。
「じゃ…少し寝ようかな」
「ん、おやすみ」
窓際に頭を寄せて目を閉じた。
もう少し私に勇気と度胸があれば、
彼の肩に寄り添って寝るんだけどね。
なーんて。
そんなこと多分一生できないけどね。