小説 | ナノ

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まだ熱を帯びている唇に
きゅっと力を入れる

















感覚をまだ鮮明に
覚えてるから



夢じゃない
これは夢じゃない



























監「2人とも見てごらん!
最高の映像になったよ!
一発OK!」

「あ…そっそうですか〜?」

直「マジで鳥肌立った」

隆「俺もっす」



















その場から逃げるように
みんなの元へ
遅れてきた臣君も交え
撮ったばかりの映像を見る






















監「その髪の毛が落ちてくる
タイミングがまた絶妙」

直「本当にキスしてるみたい」

「えっ!?!?!」

隆「…何その過度な反応
まさか…?」

「なっなわけないでしょ!?
ねぇ、臣君?」


























…私、何聞いてんだ






























臣「う…ん、してないよ」

隆「なんだーつまんないのー」





























臣君とのシーンは
一発OKだったので
私の撮影はこれで終了

























監「お疲れ様
完成を楽しみに
しててね」

「ありがとうございました」

隆「最後まで見ていけば?」

「あーえーっと…
今日は帰ろうかな?」

隆二「そ?じゃーまた」





























心ここに非ずって
このことなんだな
何も考えられない
何も見えない
何も感じない

































そのまま振り向くことなく
重たい扉を開けて
撮影現場を後にした

































臣「待って…!」
































追いかけてきてくれた
ただそれだけで嬉しい






声を聞くだけで
涙が溢れてきて
胸が苦しくなるなんて
知らなかったよ





























臣「あのさ…」

「待って、聞きたくない」



































「ごめん」の一言なら
そんな言葉聞きたくないよ


































「謝ったりなんかしないで?」















































「傷つくから…」













































不意打ちのキスだったとしても
私はその瞬間
驚いたけど幸せだったから




































衝動的なキスだったとしても
それでもいいから
































だから





































謝ったりなんかしないで














































臣「…違うよ」
















































後ろから心地よい香りと
ずっと求め続けた体温を感じた













































臣「謝るようなこと
したつもりないよ
本気だったよ」

「…本気?」











































































臣「あんなことした後で
信じてもらえないかもしれないけど
ずっと言いたかったこと
言ってもいい?」



























































臣「好きだよ」






























































ぎゅっと力の入る
その腕を握って


















































「私も…ずっと好きだった」


































































振り向けば
涙でぐちゃぐちゃな
私の顔を見て笑う
大好きな人











































お互い笑い合って


































































愛のあるキスを
何度も交わした





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