小説 | ナノ

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出血は多かったが
思ったより傷口は
そんなに深くなかった








「はぁ…ビックリした…」

隆「それはこっちのセリフ
死ぬかもとか言われて
大げさって思ってたら
実際見たらマジで
ヤバいって思ったし」

「ごめん…」

絵「でもよかった
そんなに傷口も
目立たないし」











包帯でぐるぐる巻きにされた
自分の手を見る
きっと臣君…
心配してるんだろうな












絵「今日は帰りな
結構出血してるし
その血まみれなドレスじゃ
もう戻れないでしょ」

「あぁ…そっか
私血まみれだ」

絵「それに隆二君もだよ
宿舎までまろんのこと
送ってもらえる?」

隆「はい…」

絵「他のメンバーには
ちゃんと説明しとくから」











せっかくのみぃちゃんの
一生に一度の結婚式なのに
私のせいで台無しになっちゃった












正直会場に戻る勇気なんてなくて
臣君に合わせる顔もなくて
そのまま隆二君と
会場を後にした



















絵菜Side
















会場に戻ると
もう人も少なくなっていた
残っていたのは
メンバーと三代目のみんな















可「まろんは!?」

絵「結構出血はしてたけど
思ったほど傷口は
深くなかったから
今日は帰らせたよ」

直「隆二は?」

絵「2人とも血まみれだから
まろんを宿舎に送ってもらった」

直「そっか…」









ちらっと臣君を見たら
ずっと下を向いてた
あぁ、これは私が
ひと肌脱がないと
だめなわけね









絵「とりあえずもう解散しましょ
みぃちゃんも控え室に戻ってるし
多分中止でしょうね」

槇「まろんも心配だし
帰ろっか」

直「俺らも帰ろう」

絵「臣君、ちょっといいかな?」

臣「…はい」








会場を出て
2人きりに


















絵「助けてあげられなかった
って思ってるんでしょ」

臣「…俺は本当に情けない奴です」

絵「まろんってさ分かってると思うけど
不器用で素直じゃなくて
頑固で口が悪くって
外見だけ大人ぶって
中身は小学生みたい」









本当に不思議な子










絵「でも自分の考えは
ちゃんと持ってる
きっと私よりも
この先のことを考えてると思う」

臣「それは思います」

絵「いつもあの子が
繰り返し言うことがある」

臣「何ですか?」

絵「今が十分幸せだから
これ以上何もいらないって」










(今の関係に満足してる
本当はこうなんだけどね)











絵「あの子に他にも違った
幸せがあることを
教えてやってくれない?」

臣「それは…?」

絵「そんなこと私が言わなくたって
臣君が一番分かってるでしょ?」












お互い素直じゃないから
これからが大変だと思うけど











絵「口にしないと伝わらないよ?
何があったか知らないけど
今気まずい状況なんでしょ?」

臣「はい…」

絵「男なんだから!
もっと自信持って!」













そうそう、私も
素直になってみようかな














絵「臣君だけに秘密なこと
教えてあげる」

臣「なんですか?」

絵「良いことばっか口にしてたけど
私も臣君と変わんないんだよね〜」

臣「…?」

絵「好きな人に向かい合う勇気がないの」

臣「絵菜さんって彼氏…いましたよね?」

絵「別れたよ〜
メンバーには秘密なんだけどね」

臣「え…なんで?」

































絵「他に好きな人がいるから」

臣「好きな人!?」

絵「臣君の身近にいる人だけどね〜」




























臣「…えぇ!?」

絵「臣君が勇気を出して
まろんと向き合ったら
私も頑張ってみるかな(笑)」

















こんなことでしか
背中を押してあげられないなんて
頼りないリーダーで
ごめんね?まろん?





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