「工場長ー」
「なんですか」
「私文系なんですよー」
「だからなんですか」
「なんてゆーか。機械に嫌われてるんですよー」
「……どうしたらこうなるの」


おやー工場長。いつもの敬語忘れてますよー。てゆうか私に機械いじらせるなんて油で火を消そうとしてるもんだし。そんなこと言われましてもねえ。私はこれでも真面目にやってんですけどねえ。工場長は不機嫌そのものとでもいうように私を見る。ああ、元からか。


「だから言ったじゃないですか。私じゃなくて田中くんとかピロシキとか別のスタッフに頼んだほうがいいって」
「ピロシキはいやです。汗臭い」
「田中は?」
「どうも気が合わないんですよねー」
「じゃあメイちゃん」
「香水臭くて」
「ならどうしてやとったんですかー」
「採用して振り分けたのはクロツグさんですからねー」


だからキミがここにいるのも不可抗力です。ボクの意志じゃないですから。工場長は手も止めず機械をカチャカチャいじっている。うーん。なんだか失礼な事も聞こえてきた気がするけど。なるほど。タイクーンが。そういや私もタイクーンがいいよー働けよー的な軽いノリで採用してくれたっけなあ。
私がここに来たのは半年前だった。あれ、半年もたったっけ?まあ、そのくらい。ちょっと軽い感じでやってみたら全部制覇しちゃってびっくりびっくり。そんな感じでタイクーンに目をつけられちゃって、ついでに言っちゃうと丁度帰るとこもなかったから働こうか、働こうよ、とあれよあれよと住み込みバイトしているわけだ。
そういうことで、まあ、簡単に言っちゃうとこの目の前にいる工場長も倒しちゃったんですけどね。


「工場長ー」
「なんですか」
「私、トバリのゲーセンにいきたいです」
「仕事してくださいよ」
「うわ、今の田中っぽいですよ。言い方とか」
「エニグマ」
「はい」
「田中くんにあんまりストレス溜めさせないであげてくださいねー」
「?はーい……?」


どういう意味だろう。田中がストレス?田中も大変だなあ。まあこの仕事細かいこと多いからストレスも溜まるよねえ。田中には明日にでもチオビタあげよう。


「エニグマ」
「なんですかあ」
「今日は駄目ですけど、今度の休みにトバリシティ、行きます?」
「え、マジですかあ!」
「マジだよ」
「えへへ」
「なに、気持ち悪い」
「嬉しいんですけどね工場長」


今度の休みはカトレアちゃんとお茶会なんですよーって言ったらそれっきり今日1日は口を聞いてくれなかった。なぜ。



(たまには空気読んでくれないかな)

090924

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