「ぜーったいナギサ!」
「やだー!ナギサやだ!」
「なんでよー。海きれーじゃん海!」
「ならあそこ!ノモセの手前のビーチでいいじゃん!あそこ泊まるとこもあるし」
「あそこは人がいっぱいいるからいや」
「そんなのメイちゃんの我が儘だし」
「それをいうならエニグマも我が儘なんだかんね!」


エニグマとメイが言い争っているのをボクを含めた男3人は何も文句を言うわけでもなく、ただただ聞いていた。そして2人はというと社員旅行の行き先の件で討論していた。それはフロンティア全員そろってだったり施設ごとだったり、時期もまちまち。はっきりいえば相当いい加減なのだが年に一度の恒例行事である。この間クロツグさんにいってこいと言われ何処にするかということで今に至る。海なんてどこでも一緒だと思ってるボクたちからしてみればどっちでもいいことなのだが向こうはそうではないらしい。まあ、真剣に討論するのはいいんだけどそろそろ何処に行くかクロツグさんに報告しなければならないからもう決めてほしいんだけどなー。


「あんたたちはどっちがいいわけ!」
「どっちも一緒だろ」
「だーかーら!もーたなっちはなんも分かってないんだから」
「ノモセでよくない。ホテルあるし。レストランあるし」
「ピロシキいいこといった!」
「えー」
「じゃあそこで決まりっと」
「ヘッド!それでいいの?ナギサじゃなくていいの?」


ボクはどこでもいいことを伝えるとメイはため息をついて残念そうに見つめてくる。なんなんだ。とりあえず皆ここにたまってるわけにもいかないからピロシキと未だやったーと歓喜の声をあげて喜んでいるエニグマにレンタルポケモンの点検、田中くんに機械のメンテナンスにいくように指示する。3人がでていくのを見計らってメイがボクのところに寄ってきた。今日はやけに絡むな。


「ホントにいいの?」
「やけにこだわりますね」
「いや、あたしもぶっちゃけナギサじゃなくてもいいんだけどさ」
「は」
「こだわってるのはあたしじゃなくてエニグマ」


そういわれてみたら、今回はやけに反発してたなー。だけど何に?ナギサシティに?どうして。


「これはあたしの感なんだけど」
「はあ」
「ナギサにエニグマの会いたくない人がいるんじゃないかなあ」
「会いたくない人?」
「例えば元カレ、とか」


元カレ。エニグマと元カレ。なんと不釣り合いな言葉。実に現実味がない。薄い反応のボクにメイは女なんて裏で何してるかわかんない生き物なんだからね!と怒られた。


「そういや、ヘッド知ってた?」
「何を」
「エニグマの地毛って赤いんだよ」
「え」
「この間根元が赤かったから聞いてみたら染めてるんだって」



(蓋を開けたら知らないことばかり)

091101

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