「ダイゴさん、5日間もありがとうございました」
「僕も楽しかったしね。またおいでって言いたいところだけど今度は僕がそっちにいくよ」
「?なんでですか?」
「君がまたちゃんと来れるような気がしないからね」
「そんなことないですよ!私しっかりしてるでしょう」
「神経はどっしりしてるね」


な、なんてこというんだこの人は!こんな麗らかなか弱き乙女にむかってどっしり?どっしり?!


「工場長なんとか言ってあげてください!」
「全くもってその通りですね。ちなみに麗らかなか弱き乙女なんてここにはいません」
「工場長オオ!」


2人そろってなんてこというんだ!これだから最近は草食系男子だとか言われるんだ!恥を知れ恥を!草食系男子とかぶっちゃけよくわかんないけど、この前メイちゃんが有り得なくなーい?とかいってたんだから!
ダイゴさんは私の訴えにも気づかず、あ、そうだ!とでもいいそうな顔をしたあと、エニグマ、これ、といって何かを差し出してきた。くれるらしい。そりゃ嬉しいですよ。人からもらうものなんだから嬉しくないものなんてないです。基本は。基本はね。これ重要ね。ダイゴさんが持ってるのが石じゃなかったら嬉しいです凄く。


「……え、なんすか?これ」
「餞別だよ。僕だと思って持っててね」
「いや、そんなお気遣いなく!」
「僕の気持ちだからね。持っていてよ」
「(い、いらないー)」
「ああ、ネジキくんちょっといいかい」


私に石を強引に押しつけたあと、工場長を呼んで2人だけで話をしはじめた。え、私蚊帳の外なんですけどー。近づこうとするとダイゴさんがすぐ終わるから待っててねとやんわりと口ではいうものの、表情では笑顔で圧力をかけてくる。これはあれか。元とはいえ、リーグチャンピオンであったがためのチャンピオンクオリティというやつか!私には近付けない!近付けないよ!そしてそんな私を冷ややかな視線で見るのはやめてください工場長オオ!






***

ってことで帰ることになりました。私テレポート初体験だ!ちょっとドキドキすんね!私の予想ではハリ●タのなんたらパウダー的なの想像してるんですけど実際どうなの。


「エニグマ準備はいーですか」
「ちょっと待ってくださいよ。心の準備が全くできてな「いいですね」
「私の扱い酷くないですか。てゆうか工場長さっきダイゴさんに何言われてたんですかー」
「……はい、もういきますよー」
「シカト?!もう慣れたけどね!ダイゴさーんありがとうございましたー」



***

「嵐みたいな子だったなあ」




(エニグマは縄で縛りでもしなきゃまた逃げちゃうよ、ネジキくん)

091016

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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