寒空の下、ぼうっと空を眺めていたら雪がちらついてきた。また降るのかあ。雪はどちらかといえば好きなほうだけど、こうもよく降られては少しだけ煩わしく感じる。降っている様子は綺麗でも積もってしまえば厄介でしかない。雪なんて北国から言わせればそんな物なのだ。私は部活とかもないし放課後教室でうだうだ過ごす習慣もない。普段なら学校が終わればすぐに帰宅するから、今の時間はいつもなら家でぬくぬくとドラマの再放送でも見て快適に過ごしているはず。なのに、私は未だ学校の校庭にいた。私の横で私と同じように空を眺めている吹雪士郎がそうさせたのだ。なのに吹雪はしゃべろうとはしない。私もしゃべろうとはしない。2人そろってただただ空を眺めているなんて、なかなか滑稽な光景じゃないか。笑える。それとも彼氏彼女に見えたりするのだろうか。いや、それにしたってこの光景は破局寸前の彼氏彼女にしかありえなさそうな状態。そう見えちゃうのかしら。どちらにしても笑える。「ねえ」やっと口を開いた吹雪を横目で見た。久しぶりに吹雪の顔をちゃんと見た気がした。


「ねえしゃべり子ちゃん」
「…なに」
「この間言ってくれたこと、本当?」


私は黙った。黙ったとゆうか怯んだ。まさか、その話をそんな直球にいってくるなんて思ってなかったから。別に、結果がどうであれ私は伝えられただけで満足していた。だいたい、結果なんて最初から見えていたのだから。なのにこの男ときたら。なにを今さらいけしゃあしゃあと。せっかく人が立ち直りだしたというのに。あのとき一所懸命に収めた涙がここにきて、また溢れそうになる。駄目だ。吹雪の前では泣きたくない。面倒くさい女だなんて思われたくない。…なんて未練がましいんだ私。今にも溢れだしそうな涙は次の吹雪の言葉で収まったのだけれど。「僕ね、あの子と別れたんだあ」にこり。いつも通りの笑顔が少し近づいた。その距離は鼻同士がぶつかりそうなくらい。吹雪の綺麗な顔が極めて至近距離にある。その綺麗な顔でそう言ったのだ。何を言っているのか分からなかった。あの子、とはまさかあの子のことなのだろうか。


「ねえ、しゃべり子ちゃんがこの間言ったやつ、もう一回言ってよ」



稚魚の飼い慣らし方/101017

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