私が学び通っている高校のいくつかある学科のうちの一つである英文科には夏休みの20日間を利用してアメリカへホームステイを行うはた迷惑な行事がある。私はその英文科の生徒の1人で強制的にアメリカに送られるわけだ。確かに私は英文科だ。だがしかし英文科の全員が英語を好きだと考えてはいけない。そりゃ中にはペラペラしゃべる人だっていますよ、お前は日本人かって聞きたくなるくらいペラッペラなのが。だけどそんなのほーんの一部。月並みな人だっていて、それよりもできない人もいる。その中で40人中40位とゆう順位を叩きだす人もいるわけね。それが私なんだけど。そんな私が20日間アメリカで過ごすだなんてまあ、ぶっちゃけ言っちゃうと無理。そう先生に訴えれば単位が成績が卒業がと攻め立てる。その単語がでちゃったら行くしかないでしょ。私だって卒業はしたい。そんなこんなで不安たっぷりに降り立った異国の地。今まさにそのホームステイ先の家族と対面中だが日本生まれで日本育ち父母ともに日本人な純日本人である私にとって少しのカルチャーショックと多大なる不信感を与えた。ホームステイ先の家族は父、母、息子という日本でもよくみられる典型的な家庭なのだが、あの、息子さんの顔についてるのはなんですか。メガネですかゴーグルですかアイマスクですか。そんな息子さんはいきなり私に抱きついてきたと思うと耳元で異国の言葉を叫ぶ。ああ、私が異国なのか。「I am Dylan! It looked forward to meeting you! I am glad to meet you!」…………えっ?えっ?なんて?もうやだよ!アメリカ恐いよお母さあああん!着いて2時間しないうちに早速のホームシックに襲われた私を余所に息子さんは私の右頬に唇を寄せる。オーバーヒート寸前だ。








「お前のホームステイ先、あのディラン・キースんとこなんだろ」


そう聞いてきたのはクラスメートの男子だ。今はホームステイ初日ということでじわじわと慣れさせるためかなんなのかは分からないがクラスで集合している。みんな楽しそうに自分のホームステイ先について話していた。そんな中、彼が聞いてきたことについて私には疑問ばかりだ。はて。あの、とはどのだろう。てゆうかディランってだれだ。確か息子さんがペラペラしゃべっていたときにディランと言った気もする。ディランって息子さんの名前…?


「いいよなあ」
「何がいいの?」
「なんだお前、ディラン・キース知らねえの?」
「ホームステイ先の息子さん?」
「おいマジかよ、あのディラン・キースだぞ!」


意味が分からない。彼はぽかんとする私にため息をついて、お前サッカー見ないの?と聞いてきた。生憎だが私はスポーツに興味がない。サッカー?野球?は?ルールわかんないしとゆう世界の住人だ。そんな私を知ってか知らずしてか彼はお構い無しにディラン・キースの情報を植え付けていく。アメリカのジュニアサッカー界のエース。ミスターゴール。ディラン・キースのキック力の凄まじいことなんたらかんたら。それを聞きながら、そういえばこいつサッカー部だったなあなんて比較的どうでもいいことを思い出していた。


「いいよなあ。俺もディラン・キースとサッカーやりてえよ。お前この20日間サッカーやりたい放題なんだぞ」
「サッカーはしないけど。あっそうだ、ディラン・キースに抱きしめられたよ」


アメリカの挨拶は過激だね。そういったら、今度は彼がぽかんとする番だった。




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